純正オーディオから始めるカーオーディオステップアップ術

カーオーディオをこれから始めようとする人にとって、最初のベースとなるのが純正システムだ。最初はスピーカー交換。次に外部アンプを導入し、さらにヘッドユニットからプロセッサーといった具合に進化してゆくのが一般的である。その過程でスピーカーやアンプをグレードアップすることもあるだろうし、そうした進化のプロセス自体が楽しみのひとつでもあるわけだ。

今月はその純正システムから始めるカーオーディオの可能性を探ってみることにしたい。

#1: スピーカー交換編

純正セット

純正セット

純正カーオーディオの音はずいぶんよくなったといわれている。確かにCDデッキやアンプの性能は向上したし、スピーカーの素材にも様々なものが開発されてきた。しかしやはりコストの厳しい制約の中で作られるだけに、市販の製品と比べるわけにはいかない。

特にスピーカーはまだ落差が大きい。外してみればわかるように、マグネットはごく小さいし、フレームをプラスチックで軽い。だからスピーカーを交換するだけで、大幅に音質は変わるはずだ。第一ステップにスピーカー交換を持ってきたのはそういうわけである。

試しにその純正の音というのはどんなものか聴いてみた。それほど解像度が高いわけではないが、これはこれでバランスの整った音だ。確かに昔よりよくはなっている。しかし少しレンジの広いジャズやボーカルを聴くと、レンジの狭いのが物足りない。クラシック系でも同様だ。基本的にはラジオを拡張したような鳴り方になる。

さてそこでスピーカー交換。ヘッドは純正のままで、スピーカーだけを換えてみる。これでどこまで音が出るものか、楽しみといえば楽しみだ。

carrozzeria TS-J17A

carrozzeria TS-J17A

17cmコアキシャルスピーカー ¥22,050

カロッツェリアのコアキシャルとして定番的なモデルである。ミッドウーファーにはハイアコースティック・ファイバーコーン、トゥイーターには剛性の高いマグネシウムを採用し、腰のある低音とハイスピードな高域特性を確保した構成だ。

バランスが取れてレンジが広い。コアキシャルにありがちな高域の詰まった感触が皆無で、解像力に優れ、鮮明な質感を獲得している。低域は若干軽くなるものの、にじみがない。ジャズではトロンボーンが明るく、ピアノも芯が詰まって濁りがない。いわゆるドンシャリ的な出方ではなく、質感のしっかりした伸びのいい音調である。アカペラはわずかにソリッドで細身に出るが、内蔵アンプの駆動力不足によるものだろう。余韻もきれいに広がり、ハーモニーの重なり方がいい。ボーカルも明快で声に不自然は表情がない。オーケストラは楽器どうしの分離がよく、多彩な再現だ。できればアンプを追加して低域の力感を深めたいところ。またドアの処理によって低音のこもりや膨らみを抑えるのも鍵になる。

RockfordFosgate T162C

RockfordFosgate T162C

16.5cmコアキシャルスピーカー ¥22,890

インナーバッフルに取り付けるだけで簡単に交換できるいわゆるポン付けに便利なのが、コアキシャル・タイプだ。特別な加工も必要なく、最小限の工作で交換することができる。

T162Cはロックフォード・フォズゲートの代表的なコアキシャル・タイプ。パワーシリーズの一環で、充填成型のポリウレタンコーンとアルミドームトゥイーターによる2ウェイである。トゥイーターはスイーベルタイプなので、軸上でも軸外でも取り付けが可能だ。

若干レンジが狭く感じるのは内蔵アンプのためで、それはしかたのないところ。しかし輪郭が明瞭でくっきりした鳴り方はロックフォードらしい。ジャズの厚手なトロンボーンや芯のしっかりしたベースなど、分離がよく勢いがある。ボーカルもベースが利いて崩れない。オーケストラは少し伸びが足りないものの、力があってぱりっとした音調だ。

実車ではトゥイーターの向きを調整することで、コアキシャルにありがちな高域の詰まりを解消することができる。瞬発力を生かして使いたいスピーカーだ。

carrozzeria TS-C07A

carrozzeria TS-C07A

17cmセパレート2Wayスピーカー ¥32,550

TS-Jシリーズと同じくハイアコースティック・ファイバーコーンのミッドウーファーとマグネシウム振動板のトゥイーターで構成されるセパレートタイプ。コアキシャルを分離したような内容だが、トゥイーターの形状などに違いがある。カロッツェリアのベーシックな2ウェイとして人気が高い。

上級モデルに比べれば情報量は多少差し引かれる傾向を持つが、動きが速く軽快な感触が強い。ジャズはトロンボーンの響きがよく伸び、肉質感が多少薄めになるものの解像度に優れてニュアンスが豊かだ。ウッドベースも弾みがよく、ピッチも深く沈む。ピアノは多少小粒だが、クリアで立ち上がりが速い。

アカペラは当たりのいい質感。声は細身だが、ハーモニーはきれいに分離する。ボーカルも澄んだ音色で表情も細かいが、いずれもアンプでパワーを高めればさらに厚みを増すはずだ。オーケストラもきめ細かく、さらにスケール感を加えれば非常にC/Pの高い鳴り方が得られるに違いない。

RockfordFosgate T162S

RockfordFosgate T162S

16.5cm2ウェイセパレートスピーカー ¥66,990

同じパワーシリーズのセパレートタイプだが、コアキシャルとは内容が全く違う。トゥイーターは反射型のチタンドームで、マグネットにネオジウムを使用。ミッドウーファーはパラボラ型のアルミコーンである。

明快で芯が詰まり、密度の高い音調だ。ジャズはトロンボーンの音色が伸びやかで厚い。ディテールもよく捉えて腰が強く、ウッドベースの質感もしっかり出てくる。ドラムも力強い。アカペラでは一人々々の声がはっきり分離してハーモニーが厚く、自然で無理のない肉質感を持つ。ボーカルもナチュラルで表情が細かい。オーケストラの情報量が豊富で、ダイナミックな力感がたっぷりしている。

実車ではトゥイーターがかなり近づくので、レベルの調整が鍵になりそうだが、純正ヘッドにはそうした機能のないことが多く、インストールで対応するしかないかもしれない。簡単なイコライザーでもあればある程度の処理は可能だろう。

2008-02-07 [TEXT:井上千岳/ PHOTO:Mycar-life編集部]

*記事中の価格表示は特記がない場合、税込標準小売価格です。