
カロッツェリアのDSPメインユニットのトップモデルDEH-P910は、2006年に発売されて以来高い人気を集めてきた。同じメインユニットでも下位モデルとは装備も技術も異なり、一次元違った位置付けが行われてきた製品である。それからほぼ2年が経過し、リファインによって音質にいっそう磨きをかけたのが本機DEH-P930だ。発売は2月下旬が予定されている。

基本的な構成はP910と変わっていない。CDプレーヤーとFM/AMチューナーを内蔵。ほかにAUX入力1系統も備える。DSPを搭載し、AUTO-TA&EQのほかマニュアルでの調整も可能。グラフィック・イコライザーは16バンド・フルレンジで、LR独立の調整ができる。またプリアウトはフロント・ハイ/ミッドとサブウーファーの3系統6ch。クロスオーバーとタイムアラインメントもこれに対応し、サブウーファー2chも含めた6chを独立して設定することができる。
内蔵アンプはMOS-FETで50W×4/4Ω。ボリュームは電子式である。本機単体で使うこともできるが、外部アンプを加えてDSP機能だけを生かすことも可能。その場合はCD/プリアンプということになる。
リファインの主要ポイントは音質の強化だが、まずDACデバイスに続くローパスフィルターに、リニア・テクノロジー製のオペアンプLT1358を新たに採用した。これはカロッツェリアXにも使用されているデバイスで、ワイドレンジで非常にスルーレートが高い。つまり立ち上がりの速い音質を実現することが可能である。DAC自体は従来どおりバーブラウン社製で、これもカロッツェリアXの搭載品だ。

もうひとつ新しく搭載されたのがキャパシターである。これは本機用に専用開発されたフルカスタム・コンデンサーで、電源供給に大きな影響を持つ。最終的にこのコンデンサーの採用で音質が決まったという。
回路は非常に集積度の高いレイアウトにまとめられているが、シャーシには銅メッキが施されている。また主要部分のビスも銅メッキ製だ。さらにパワーアンプ部や電源部のパーツにも、銅メッキ・パーツが使用されている。例えば出力デバイスのMOS-FETを覆うカバーがそれだ。アース電位を安定させ、渦電流を解消してノイズの混入を防ぐのに大きな役割を果たす。基本的なS/Nに顕著な違いが現れる部分である。
その他バックアップ電源やGND、スピーカーケーブル、プリアウトケーブルにはOFCを採用。端子には金メッキが施されている。
デザインはほぼ従来どおりで、ブラックを基調にパールホワイトのOELディスプレイ。イルミネーションはホワイトとオレンジの選択で、オフモードも備えている。

音を聴くと、まずS/Nがいっそう向上したのがわかる。それに連れてディテールが明瞭に浮かび上がり、細かなエッジの立った音調が描き出される。凹凸が細かいという印象だ。そして音場の空間が深い。これらが電源とフィルターの改善によるものであることは確かだ。また低域が厚くなっている。出力そのものは変わっていないわけだが、出てくる音のエネルギーが高く力強さが増した感触だ。もちろん立ち上がりも速い。そのためスピーカーに対する制動が利き、再現のメリハリが明快になった。価格は据え置きということだから、コスト・パフォーマンスがますます圧倒的である。
2008-01-17 [TEXT:井上千岳/ PHOTO:木村博道]
*記事中の価格表示は特記がない場合、税込標準小売価格です。