

ジャン・フルネ(指揮) 東京都交響楽団
フォンテック FOCD9293
昨年12月にファスト・コンサートを行って引退したジャン・フルネが4半世紀以上にわたって共演してきた都響との録音から、厳選して制作されたアルバムだ。いずれもフルネの18番であったフランス音楽の代表的な作品。とにかくこれほどオーケストラのナマの音が収められたディスクも珍しい。少々粗いくらいに厚手の弦楽器や濃密な質感を備えた木管楽器など、ダイナミック・レンジにも音色にも手を加えることなく収録されている。ハイブリッド盤なので、できたらホームでSACDも聴いてほしい。異常なほどのリアリティに驚くはずである。

有田正広(フルート)ほか
デノン COGQ-21
古楽器(現在はピリオド楽器という)の第一人者である有田正広が、モーツァルトの協奏作品を集めて演奏した一枚。有名な「フルートとハープのための協奏曲」も含まれ、これまでの演奏活動の集大成として企画されている。なにより古管特有の豊かな音色が魅惑的だ。木管の柔らかさと一種の雑味、風切り音などは、雅楽で使う竜笛にも似て、それだけで深い味わいを持つ。オーケストラも鮮烈に捉えられ、繊細で瀟洒このうえない。ハープが絡むといっそう清楚な優雅さが加わる。誇張がなく、自然な美しさが堪能できる録音である。

エイベックス AVCL-25136
ストラヴィンスキーの「春の祭典」を、自動演奏との一人二役の連弾で再現してみせたトルコの鬼才ファジル・サイのベスト・アルバム。クラシックをベースとしながら、随所に現代音楽やジャズの手法を取り入れた演奏は実に多彩だ。初めての人には「パガニーニ変奏曲」と「トルコ行進曲ジャズ」を聴いてもらいたい。特に後者は聴いているうちにわくわくしてくるような愉しさに満ちている。明快極まりないタッチがくっきりと捉えられた録音は、ピアノ・ソース再生の基準にもなるだろう。思わず飛び上がって拍手したくなるような快演である。