

去る12月9日(土)、千葉県千葉市のプロショップVogue(ヴォーグ)に於いてカーオーディオのグレードアップ・アドバイスとデザイン・コンシャスでハイクォリティなホーム・オーディオ機器の展示・試聴会が開催された。ユーザーへのアドバイスは僕が担当、ホーム・オーディオの紹介と説明は各輸入ディーラーの人たちが当たってくれた。


当日は、あいにく雨模様でこの冬一番の寒さと思える気候であったが多くのカーオーディオ・ファンが集まり終日カーオーディオ談義に花を咲かせていた。
話は変わるがVogue(ヴォーグ)は去る10月24日、25日に行われたBEWITHサウンド・コンテスト東日本地区大会に於いて第一位に輝いた実力の持ち主。それだけに僕が試聴したオーナーのクルマは、どれも完成度が高く、搭載されたコンポーネンツの実力を確実に引き出している感があった。ほとんどのクルマがインストール完了後2〜3ヶ月というクルマであり将来的なグレードアップ・プランを提示させてもらったが熱心なユーザーが多いので意外に早くグレードアップを実践する人も多いのではないかと思う。

当日、展示していたホーム・オーディオ機器は僕がセレクトしたものでシンプルかつスタイリッシュな製品たちだが決してデザイン優先ではなく価格以上のパフォーマンスを秘めたコンポーネンツばかり。その中から当サイトの編集部が特に注目した製品を紹介したいと思う。

その一つは、今やイタリアを代表するブランドとなったオーディオ・アナログのプリモ・シリーズのインテグレーテッド・アンプ“Primo CENTO VT”とCDプレーヤー“Primo CD VT”型番末尾のVTはヴァキューム・チューブ(真空管)の略、“Primo CENTO VT”はプリ部に、“Primo CD VT”は出力バッファー部に真空管を採用しているのが特徴。両機とも所謂ハーフサイズのコンパクトなボディだが実力はフルサイズの大型機を凌ぐものがある。この両機で鳴らしていたスピーカーはスイス、ピアガのTS3。ピアレス社と共同開発したオリジナル設計の10cm口径ウーファーとネオジウム磁気回路のソフトドーム型高域ユニットで構成される一見オーソドックスな小型2ウェイ機。しかしウーファーは新開発の振動板と独自のサスペンション機構を備えロングストローク化と高耐入力化を図っている。そして剛性が高く十分な容積が確保できるアルミ・エンクロージャーによってサイズを超えた低域再生能力を実現している。そして透明度の高いナチュラルかつピュアな中高音を聴かせてくれた。

もう一つは北欧スウェーデン、Audio Proブランドの“Stereo One”と名付けられたコンプリート型システム。本機はCDプレーヤー、チューナー、アンプを一体化したセンター・ユニットと小型2ウェイ・スピーカーで構成されている。スピーカー・システムは同社の人気システム、ブラック・パールV2をさらに小型化したような外観で充実感のあるリアルな低音再生を可能にする同社独自のace-bassとace-plus機構を搭載しているのが特徴だ。トゥイーターはオーソドックスなシルク・ドーム型だがアルミ・ダイキャストのプレートにマウントしてエンクロージャーにビルトインすることによりトゥイーターはエンクロージャーから分離されウーファーの振動から開放され濁りのないクリアーなサウンドを実現。スピーカー・システムとセンター・ユニットを組み合わせることで38Hz〜40kHzという大型スピーカーにも負けない低域レスポンスを確保しているのが驚きだ。サウンドは国産のミニコンやこうしたコンプリート・システムにありがちな特定の帯域をブースとしてメリハリを効かせることのないナチュラルな再生音を実現。Ace-bass機能をON にすると確実に低域レンジが拡大し低音楽器の質感や量感がよりリアルに再現させる。といってもラウドネス機能のように単に量感を増加させ籠もった低音にすることはない。そして小音量再生時にも音楽的なバランスを崩すことがない点も好ましい。ウッドベースのピチカート音なども線の太さを演出することなく質感やニュアンスを正確に描き出す。そして中高域も質感が高くピアノは鮮度の高い美しい響きが得られ女性ヴォーカルは瑞々しい表情で再現していた。

最後に紹介するのは、先のTS-3と同じピエガの製品で同社20周年を記念した“Twen”だ。本機はTS-3と同様デンマークの名門ピアレス社と共同開発した同社オリジナル設計のウーファー2本と同社社名に由来するリボン型トイゥイーターで構成される2.5ウェイ構成。ウーファーはセンタリング・スパイダーとラバーサラウンドによるMDS(マキシマム・ディスプレースメント・サスペンション)と呼ぶサスペンション機構を備えロングストローク化と高耐入力化を果しサイズを超えた低域再生能力を実現している。三角断面のエンクロージャーは同社として始めてのチタニウムカラー。このエレガントなデザインはスイスの著名建築家兼デザイナー、Hannes Wettstein(ハンネス・ヴェットシュタイン)のアイデアスケッチから生まれたという。とても10cm口径とは思えない超低域までフラットかつクリアーに再生するという印象で45Hzというカタログ・スペックの低域再生限界が控えめなのでは、と思えてくる。しかも90dBと現代のスピーカーとしては能率が高く振動系質量の高いウーファーを小容量エンクロージャーに収めて無理矢理低音を伸ばしたシステムのような重さがまったくないのが好ましい。これは一般的なMDF製エンクロージャーに比べ遥かに高い剛性と容積を確保できるアルミ・エンクロージャーの効果も大きいだろう。そしてコンテンポラリー系ソフトのマッシブな低音のビートが軽やかに立ち上がってくる。高域もリボン型トゥイーターだけあり超高域までフラットな周波数レスポンスを実現し鮮度、透明度の高いピュアな響きが感じられる。それでいてリボン型独特と思える響きをかんじさせないナチュラルなサウンド。ペアで40万円強という価格は海外製のカー用スピーカーに比べ極めてリーズナブル、それでいて倍程度の価格の製品を凌ぐ性能を考えると抜群のCPを誇る製品というべきだろう。

他にもドイツの新進ブランド、トライゴンの最新型アンプなども展示されていたが、こうした機会に優秀なホーム用システムのサウンドを聴いておくとカーオーディオにおいても確実な目標設定ができるのではないかと思う。
