
アキュレート・アンプA-110Sを初めて聴いたとき、これは大変なものが出てきたなという印象だった。音がいいというだけならそれほど驚きはしなかっただろう。しかしこのアンプは違った。音がいいのではなく、音がしないのだ。アンプ自体の存在は全く感じさせず、ソースの音だけが聴こえてくる。アンプとしてほとんど理想といっていい動作状態である。
モニター・スピーカーのH-1にも同じことがいえる。ただこのスピーカーはすでに2年前にもいくつかの賞を得ているが、その後内部のダンピングなどにさらに手を加えているそうだ。残念ながら最新の状態はまだ知らない。しかし以前聴いた限りでは、やはり色がなくソースそのままの音が出ていたように覚えている。
この2モデルが昨年のMM-1に続いて、2007年度のCESイノベーションアワードに輝いたのはむしろ当然といえる。おそらくカーオーディオで世界の最先端を走っているひとつがビーウィズであり、その技術を駆使して完成した製品には、どれも共通した音の特質がある。それが最初に述べた「音がない」状態なのである。機器自体の音がしないことこそオーディオの理想。そのことをビーウィズは誰よりも(ホームオーディオも含めて)よく理解しているように思う。
このことを裏付けているのが卓越した技術力なのだが、例えばA-110Sで使われているパーツは通常の10倍以上も厳しい許容度で作られている。測定器と同等といってよく、個人が趣味で作るならともかくメーカーの製品として世に出すのがどれだけ大変なことだったか、想像に余りある。あるいはH-1のキャビネットはアルミ・ダイキャストだが、これはユニットの取り付け部分まで含めた一体成型だ。こんな手の込んだ型を使って確実な精度を得るには、よほど精密な技術が要る。またユニットもコンフィデンスの選別品だけを使い、徹底した精度を確保している。
こうした技術力をさらに裏付けているのが、本当に最先端としかいいようのない開発思想である。それはMM-1に明らかだが、固体メモリーの優位性を早くから認め、それを現実の製品として作り上げてしまったところにビーウィズの面目躍如たるものがある。将来必ずメモリーの方が主流になるという確信がなくては、これだけの製品を開発することはできない。技術があっても思想がなければ、決断することができないはずだ。
MM-1、A-110S、H-1と揃ったところで、音の入口から出口までビーウィズのシステムが完成した。ここで聴ける音は無比の透明度でおそらく世界中のオーディオ機器を凌駕するに違いない。ここまで先端的な音が出せるメーカーは、世界中探してもほかにないはずだ。その素晴らしさが、今年のビーウィズに圧倒的な躍進を与えたといっていい。