

市場投入と同時に高い評価を受け我々のリファレンス的な存在だったシステムコントロールチューナーCDカロッツェリアRS-D7IIが今春さらなる進化を遂げた。RS-D7XIIIという型番から考えるとD7IIの改良型と思えるのだがCDメカニズム、基本回路は受け継ぎながら、それ以外の部分には大幅に変更され格段にパフォーマンスを高めた感がある。大きな改良点は高精度サウンドマスタークロック回路を追加した点だ。これはデジタル信号を読み取る際の時間軸の乱れである「ジッター成分」を排除し正確なクロック波形を生成するためだ。今回、この専用設計のクロック回路をCD用に加えデジタル信号処理回路にも投入しジッターを排除。また16bitのオリジナルCDデータを24bitへ再量子化することでDレンジの拡大と量子化歪みを低減するハイビットコンバージョンの搭載も注目される。さらに低インピーダンス化と電流容量拡大を図り70μm厚銅箔基板を採用し電流供給能力も高めたという。今回は、このD7XIII登場以前にピュアデジタル化の象徴として開発されたデジタル・インテグレーテッド・アンプRS-A9Xを組み合わせて試聴することになった。本機のメリットはパワーアンプ部直前までのデジタル伝送を可能にしたことだ。これで従来以上にノイズの少ないピュアでクリアな再生音が約束されることとなった。車内は一般のリスニングルームやリビングルームより遥かにタイトな空間だが最短距離での配線は容易ではなく信号経路が長くなるアナログ伝送では様々な外的要因により音楽信号にノイズが混入してしまう。ところがカロッツェリアXが採用する光デジタル伝送では光の明滅によって信号を伝送するので外来ノイズの影響を大幅に低減でき外部輻射も少なくできるというアドバンテージがある。しかもプリ部は左右独立4ウェイのネットワークとタイムアライメント機能、31バンドのグラフィック・イコライザー、3バンド・パラメトリック・イコライザー等を内蔵しデジタル段階で様々な調整ができるのも大きなメリットだ。さらに100W×4ch(4Ω)というパワーアンプも内蔵しているのでフロント2ウェイ構成のシステムを採れば、この両機だけで事足りることになる。それを考えると少し大きめなボディだがスペースファクターはそれほど悪くはないということにもなるだろう。
このペアが聴かせたサウンドは、聴感上で十分な周波数レンジとダイナミックレンジを確保しCDに記録された音楽情報を正確にパワーアンプに送り込んでいると思わせられる。すべての楽音がナチュラルなトーンで描き出され、さすがピュアデジタルと思える鮮度の高さが感じられマスターテープを聴くような生々しい表情で再現された。そして、どの帯域にも付帯音がつきまとうことなくヴォーカルをはじめとする個々の楽音の表情を細部にわたって精緻に描き出すが決して分析的な表現でないのが好ましい。低域もボトムエンドまでスムーズに伸び微かな空気の動きやアーティストの気配、ホールの空間の広さまでリアルかつ明瞭に引き出す高い解像度とSN比が確保されているのも素晴らしい。それでいてコンテンポラリー系ソフトのマッシブな低音のビートに十分な厚みを感じさせながら制動の甘いブーミーな低音にすることがない。この両機を核にしてシステムアップを図ったならホームオーディオの高級機に負けないパフォーマンスの高いサウンドを引き出すことができるだろう。