
カロッツェリアはパイオニアがカーオーディオとカーナビゲーションに対して与えたブランドである。1986年、それまでのいわゆるカーステレオとは一線を画した新時代のカーオーディオ・システムとして、カロッツェリアは誕生した。そして7年後の1993年、カロッツェリアXが登場する。それは単にカロッツェリアの高級バージョンというだけではなく、全く画期的なコンセプトを中核としたものだった。光デジタル伝送である。
当時のカーオーディオは、まだアナログ全盛の時代だった。CDプレーヤーこそデジタルだが、そこから先のアンプもスピーカーも全てアナログで接続され、パッシブ・ネットワークで帯域を分割する。それがたとえどんなに優れた技術によるものであっても、カーオーディオでは限界があるのもまた確実だ。左右前後のスピーカーからの距離の差はどうしても埋めることができないし、伝送経路の長いカーオーディオではノイズが混入する可能性も高い。ソースがデジタル化された現在、そこから先は伝送方式を変える以外に根本的な改善はありえない、とパイオニアでは判断したのだろう。それがODR(オプティカル・デジタル・レファレンス)思想となって、カロッツェリアXに結実したのである。
カロッツェリアXでは、ソースからパワーアンプまで光ケーブルによってデジタルのまま伝送する。デジタルでは理論的に伝送による劣化は起きないし、光伝送であれば電気的に一度遮断されるからいっそうノイズの混入する余地がない。そしてその途中でのイコライジングやタイム・アラインメント、帯域分割なども全てデジタル領域で行われる。ここにも信号処理による劣化が生じないのである。
こうして高純度なまま最終段階のパワーアンプまで信号を持っていってしまおうというのがいわゆるピュア・デジタルの考え方だ。またデジタル/アナログの場合でも、プロセッシングまではデジタルで行う。デジタルのメリットを最大限に活用するカロッツェリアXの優位性は明らかである。
こうしてカロッツェリアXは、カーオーディオの世界を一変させた。いまやカーオーディオはデジタル抜きには語れないし、システム構成もマルチアンプが常識である。この点では未だにネットワークとシングル・アンプのホームオーディオよりも、一歩先を行っているといっていい。その道を切り拓いたのがカロッツェリアXなのである。
カロッツェリアXは2004年にピュアデジタル・システムを一新している。そして今回はデジタル/アナログ・システムとしてヘッドユニットとデジタル・プリアンプがリファインされた。その進化の核心は何か。時代の最先端を走るニュー・カロッツェリアXの内と外の全貌を、次回から4週にわたってお届けしたい。