
トゥイーター
普通スピーカーは、ピストン運動で音を出す。それが原理だ。ところが実際はそれだけではない。周波数が上がってくると、ピストン運動とは別に振動板がびりびりと振動し始める。分割共振と呼ばれる現象で、実はピストン運動では追いつかない高域の再生にはこの分割共振が活用されているのだ。
この分割共振による音も、音としては聴こえる。ところがスピーカーの音はどの方向に対しても均一に出ているわけではない。正面に向けて出ている音が一番大きく、この軸を外れると段々小さくなる。その全てを含めてスピーカーの音が形成されるのだが、分割共振は軸外での音圧が極端に小さい。カーではスピーカーがリスナーの正面を向いていることはあまりないから、実際には軸外の音を聴いていることになる。それが分割共振による音だと音圧が低く、バランスの崩れたものとならざるを得ないのが実状である。
P.P.C.コーンのメリットはここだ。振動板の駆動点がセンターからずれている。このため分割共振が一様に起きるのではなく、共振が分散される。つまり周波数が高くなっても分割共振が起きにくく、レスポンスがどこまでも均一に取れるということだ。だから軸外の音も大きな減衰を生じることがなく、広い範囲で滑らかな周波数特性が得られる。
コンフィデンスではウーファーとのクロスオーバー・ポイントを一般より低い800Hzに設定しているが、偏心の効果も加わってレスポンスが滑らかな範囲でクロスさせることができる。このため特性がどこまでもフラットにできるというのがメリットのひとつだ。

ミッドレンジ
もうひとつはリスニング・ポイントとの関係。仮に運転席側で聴くとすると、右の(国産車の場合)スピーカーは距離が近いから聴こえてくる音はスピーカーの正面から大きく外れている。分割共振での軸外特性が悪いのは先に述べたとおりだ。これに対して左側は距離が遠いため、比較的軸上に近い音が聴こえてくる。このアンバランスが音を著しく悪くすることは容易に想像できるだろう。
P.P.C.は偏心している。軸外の指向特性(ポーラ・パターン)が向きによって違うのだ。このことを利用すると、リスナーに近い右のスピーカーも、軸上の範囲内に収めることができる。このため左右のアンバランスが生じにくく、左右均等の高精度な音が得られるというのが二つ目のメリットである。
ビーウィズのスピーカーはアキュレートもリファレンスもこの形だ。効果は絶大だが設計は難しい。偏心したコーンを正しくピストン運動させることを考えてみてほしい。コンフィデンスではマグネットに強力なネオジウムを使用し、ダンパーは外側ほど波を大きくしてレスポンスを整えている。その他ボイスコイル、フレームなどあらゆる部分に最強の設計を施して万全を期した。その結果は装着率が示している。瞬く間に日本を代表するスピーカーとして認知されてきたのが、ビーウィズなのである。なお音質については次回。
