サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』 #71: デモカー・Audi ハイレゾ化への道 #01 プロローグ | Push on! Mycar-life

サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』 #71: デモカー・Audi ハイレゾ化への道 #01 プロローグ

昨年このコーナーで、アンティフォンのデモカー・Audiのシステム変更の過程をレポートしていただいた。カロッツェリアXを核としたシステムから、純正オーディオとHi-Fiオーディオを共存させるシステムへと変貌させる試みだった。今回からの記事は、その続編だ。テーマは、“ハイレゾ化”。まずは、プロローグから…。

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サウンドステーション アンティフォン 松居 邦彦の『カーオーディオ そこんとこ、実際ど〜なのよ?』


昨年このコーナーで、アンティフォンのデモカー・Audiのシステム変更の過程をレポートしていただいた。カロッツェリアXを核としたシステムから、純正オーディオとHi-Fiオーディオを共存させるシステムへと変貌させる試みだった。今回からの記事は、その続編だ。テーマは、“ハイレゾ化”。まずは、プロローグから…。

今回から、デモカー・Audiの“ハイレゾ化”の過程をリポートしていく。

今回はその序章として、最近考えていることを綴らせていただこうと思う。あとあとに関係する内容ではあるのだが、とりあえずはさらりと読み進めていただけたら有り難い。

実を言うと最近ぼくは、もっぱらアナログレコードのことばかり考えている。昨年末に行った当社イベントで聴いた、最新のスーパーアナログの刺激が、未だ収まらないのだ。

そしてとうとう、超音波式のレコードクリーナーを導入してしまった。

アナログレコードでは、針とレコードが接触して信号が読み取られていく。したがって、レコード盤面のコンディションはとても重要なのである。非接触再生のCDでも、磨いたり周囲に緑のマジックを塗ったりするチューニングが存在しているくらいなのだから、接触再生であるレコードで、クリーニングの効果が高いことは容易にご理解いただけると思う。

装置の違いでも音は変わる。入門アナログシステム(カートリッジ、ターンテーブル、フォノイコライザーまで)と高級なシステムでは、比較にならないほどの大きな差がある。その差は、安いCDプレーヤーと高いCDプレーヤーの差と比べても相当に大きい。

そして、盤面のコンディションを整えることで得られる音質向上幅は、装置をステップアップすることで得られる音質向上幅に匹敵する、と、ぼくは思っている。

というわけで、今回導入したクリーナーは、相当に大きな威力を発揮してくれている。


超音波式のレコードクリーナー


ちなみに、昔やっていた「スプレー式のクリニング液を吹きかけビロードのクリーナーで拭き取る」方法では、効果は微々たるものだった。ぱちぱちというスクラッチノイズは年月とともに増えていくばかりだったのだ。

スクラッチノイズのほとんどは、溝に蓄積される物体が原因で発生する。新品のレコードでも、スタンパーから剥離しやすくするための剥離材が残っている。昔ながらのやり方では表面をなでているだけで溝の中までにアクセスできず、それらを取り除くことができていなかったのだ。

そのような簡易なクリーニングではなく、本格的に行おうとするならば、もう少し大がかりがクリーニングマシーンを必要とする。

ちなみに、今までの主流はバキューム式。レコードに液体を染み込ませ(その液体にゴミを吸着させ)、液体ごと強力な吸引装置で吸い取る、という方式のクリーニングマシーンだ。

これを何度か繰り返すと、かなりぱちぱちしていたレコードもサイレントになり、そしてノイズフロアーが確実に下がり、アンビリーバブルな世界が目の前に繰り広げられるようになる。

それに対し今回導入した装置はバキューム式ではなく、超音波式の洗浄機である。レコード盤を超音波振動させた水の中で回転させた後、ブロアーで乾燥させる、という方式だ。これまでのバキューム式装置を超える効果がある。スタンパーの剥離材もきれいに落とせるらしい、計ったわけではないが、S/Nが3dbは違うような気がする。それほどの効果なのだ。


ターンテーブル


さて、年末のイベントの時にあった最新の超ド級のターンテーブルから、元々あったターンテーブルに戻り…。やはり超ド級のターンテーブルと比べると、力強さが若干なくなり、ノイズフロアーも上昇。空間の再現性も若干悪くなった。

それでもレコードで聴く音楽は、CDで聴くそれより一段テンションが上がったように思える。演奏家の感情がより感じられるようになり、その音楽に没入できる。

暖房における、エアコンと薪ストーブの違いに似ていて、それは温度の差ではなくて、幸福感を伴った暖かさ、とでも言おうか、温かさの質の違いだと思うのだ。レコードとCDの音の良さにも、質の違いを感じている。

ところで今世の中では、音源がCDからハイレゾに変わろうとしている。そのタイミングで、図らずもレコードの良さを思い知ってしまったわけだが、この期に及んで次のようなことも感じている。

デジタル音源がCDからハイレゾになるのは、アナログに近づくための方法なのだろう、と。

そして、レコードがどれだけ素晴らしいとしても、クルマの中でそれを楽しむのは不可能だ。であるならば、クルマのオーディオ環境における今後のテーマは、結局のところ“ハイレゾ”しかないのである。

今週ようやく、待ちに待ったオーディソンのマルチメディアプレーヤー『bit Play HD』が届くらしい。

これを使うことでいよいよ、デモカーのAudiを“ハイレゾ化”することができる。

楽しみがもう1つ増えた。次回からは、Audiハイレゾ化の実際をレポートしていきたいと思っている。期待してお待ちいただきたい。

《松居邦彦》

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