◆例えばオーケストラなら各楽器の音がどれだけはっきり聴こえるか、あるいはピアノなら各音がどれだけ分離されて聴こえるかといった分解力のことを解像度と呼びます。測定上のものではなく、あくまでも聴感上での感覚です。逆の状態は団子状と呼んだりしますが、細かな音がはっきりしない混濁状態となります。
◆スピーカー・ユニットを収納する箱のことです。エンクロージャーといっても同じです。カーオーディオでもエンクロージャー方式のスピーカーがありますが、一般的にはドアの内部空間がエンクロージャーになると考えていいでしょう。
◆空中で裸のユニットを鳴らしても音になりません。確かに振動板は動いているのですが、背面から回り込む音波と打ち消しあって音として聴こえないのです。キャビネットにはこれを防ぐ役割があります。また振動板に適度な圧力を加えてユニットの性能を引き立てるのも目的のひとつです。
◆音を吸収する素材のことを吸音材といいます。特に意識的に作らなくても、例えば衣服やカーテンなども吸音材として働きます。しかし普通はスピーカー・キャビネットの内部や室内の音響調整などを目的として作られたものをいいます。最も一般的なのはグラスウールですが、発泡スチロールなど発泡素材、各種の綿など様々な材料が試されています。ただいずれにしても全ての音を100%吸収するものではなく、材質によって吸収しやすい周波数があるのは事実です。このため吸収しきれなかった音は反射して戻ってくることになり、それによってその素材固有の音というものが生じるのです。なお吸音材は音を吸収するものなので、防音にはなりません。防音の場合は音を跳ね返してしまわないといけないので、石膏ボードなどがよく使われています。
◆振動している物体を別の物体に付けると、一緒に振動し始めることがあります。これが共振で、楽器では共鳴というようです。共振は特定の周波数で特に強くなります。物質固有の共振周波数があるためで、もちろん音質を濁らせる元です。それを打ち消すために異種素材を組み合わせたり防振材を貼るなどの手法がよく使われています。
◆電気にはプラスとマイナスがあることはご存じでしょうが、そのプラス/マイナスのことを極性といいます。また家庭の電源は交流ですからどちらでも同じですが、実際にはどちらか一方の電極がプラスになっています。コンセントの穴をよく見ると長いのと短いのがあるのがわかりますが、この長い方がマイナスです。交流のプラス/マイナスというのは、つないだときに最初にどちらがプラスになっているかということです。ホーム・オーディオでは、実はこの極性も音質に影響をあたえることがわかっています。
◆信号をいくつかの細かい帯域に分け、その帯域ごとに音量を増減することができるものをグラフィック・イコライザーと呼んでいます。トーン・コントロールをいっぱい付けたようなものと思えばいいでしょう。どれくらいの帯域に分割するかはその機械によって異なりますが、少ないものだと5つないし7つ、多いものだと30以上になるものもあります。そのときの様子をグラフ的に表示するので、この名称があるのかと思われます。カーオーディオでは車室内の音響が平らではありませんから、どうしてもこの機能が必要になってきます。分割帯域は多いほど高性能と思われがちですが、あまり多いと聴感で調整するのは不可能になってしまいます。ですから高級機だからといって必ずしも帯域分割が多いとは限りません。
◆スピーカーは普通2つないし3つまたはそれ以上のユニットで構成されています。ひとつのユニットで全帯域を十分均一に再生できるものはほとんどないからです。そこでどのユニットにどれだけの帯域を担当させるか決めなければなりません。この担当帯域を分割するのがクロスオーバー・ネットワークです。コイルやコンデンサー、抵抗などを組み合わせたパッシブ回路として構成されるのが普通ですが、このときの分割点となる周波数のことをクロスオーバー周波数といいます。
◆CDプレーヤーなどのデジタル機器では、デジタル信号をアナログに変換するなど信号処理の全てがタイミングを同期させて行われます。つまり全ての回路が同じタイミングでそれぞれの動作を行わなければなりません。このタイミングが極端にずれると音にならないのです。タイミングの大本になるのがクロックと呼ばれる発振器で、通常は水晶発振器を使います。発振器の正確な振動を元にクロック信号が作られ、この信号を時計代わりとして全回路が同期を取って動作を行っているわけです。
◆アンプというのは入力信号を増幅して出力するものですが、このとき入力に対して何倍ぐらいの大きさで出力されるかという数値をゲインとか利得といいます。通常はdB(デシベル)で表示されますが、もちろん数値が大きいほどゲインが高いということになります。
◆導線をぐるぐる巻きにしたものをコイルといいます。コイルは直流に対しては何も影響を及ぼしません。しかし交流を流すと面白い現象が現れます。一定の周波数以上の信号を通さなくなるのです。これは自己誘導と呼ばれる現象によるものです。
◆導線に電流を流すと、その周囲には必ず渦巻き状に磁界が生じます。コイルは導線を巻いてあるわけですから、その内側には1本1本の線に生じた磁界が束になって通っていることになります。この磁界は鉄芯を入れるとよけい強くなります。これは直流のときでも生じているものです。
◆ここで電圧を徐々に下げてゆくと内側の磁界も弱まりますが、それを打ち消そうとして逆方向に電流が起きるのです。電圧を上げると、今度は逆の方向に電流が起きます。このようにコイルでは、電圧の向きや強さが変化すると、内部の磁界を保とうとして逆方向に電流が生じます。これが自己誘導という現象で、インダクタンスと呼ばれます。
◆交流では常に電圧の向きと大きさが変化していますから、コイルには常に逆方向の電流が生じていることになります。そして電圧変化の速さが一定以上になると、電流の変化が追いつけず流れなくなってしまいます。これはコイルのサイズや巻線の数にもよりますが、この性質を利用して一定周波数以上の信号を流さないローパス・フィルターとして使われることになります。この性質によってオーディオでは基本的なパーツのひとつとなっているわけです。
◆ハーモニックスともいいますが、音楽でいえば倍音に当たります。真空管やトランジスターではある特定の周波数の信号が流れると、その2倍3倍といった整数倍の周波数の信号も発生してしまうことがあります。この整数倍周波数の信号のことを高調波ないしハーモニックスと呼ぶのです。
◆アンプの回路に特定の周波数の信号を流したとき、その整数倍の周波数の信号が発生することがありますが、これは元の信号にない成分なので歪みです。そこでこの種の歪みを高調波歪みと呼びます。特に3倍5倍などの奇数倍の高調波は耳につきやすいため、歪みとして性質のいいものではないとされています。
◆スピーカーの振動板のことをコーンと呼びます。コーンというのは三角錐のことですが、スピーカーの振動板は大概すり鉢状になっているためこういう呼び方になったようです。ですからドーム型スピーカーの振動板はコーンとはいいません。素材にはパルプやポリプロピレン、金属、セラミックなど様々なものが用いられていますが、基本的には軽量で剛性が高く、共振しないという3つの性質を持つことが理想とされます。
◆コンデンサーというのは、2枚の電極の間を絶縁した格好をしています。ここに電圧をかけると、ほんの瞬間的に電流が流れてあとは止まってしまいます。直流ですとこのままです。ところが交流になると電流が流れ始めるという不思議な性質があります。
◆電圧がかかっているときのコンデンサーの状態というのはどういうものかといいますと、マイナス極には電子が、プラス極には電子を失った原子核がばったりと張り付いています。電流は通じていないけれども電圧はかかっているので、お互いに相手の極に引っ張られているのです。これはいってみれば電気が溜まっているようなものですから、両極を外側からつなぐと瞬間的に電流が流れます。放電といいます。
◆ところで極性をさっきと逆にして電圧をかけてみると、当然逆方向に電気が溜まります。充電といいます。この電圧の交代をものすごく速い周期で行うとどうなるか。電極に溜まった電子は導線の中を行ったり来たりすることになり、見た目には導線に電流が流れているのと同じになります。この周期が十分短くないと、コンデンサーには電気が溜まってしまいそれ以上は流れないことになります。つまり一定の周波数以上の交流でないと流れない。それは電気を溜める容量の大きさできまります。容量が大きいと溜まる時間がかかりますから、その間は電流が流れます。だから周期が長くても電流が通じることになります。容量はコンデンサーのサイズによりますから、大きいコンデンサーほど低い周波数まで通すというころになるわけです。
◆このようにコンデンサーには一定以上の高い周波数の交流を流すという性質があります。これを利用したのがハイパス・フィルターで、ちょうどコイルとは逆の働きであることがおわかりでしょう。やはりオーディオ回路の基本的なパーツとなっているのはこのためです。なおコンデンサーという呼び方は日本だけで、英語ではキャパシターと呼びます。
◆ホーン・スピーカー用のドライバー・ユニットのことを、特にこう呼びます。ホーンというのはメガホンと同じ原理で、狭い口径に音波を吹き込んで口径の大きな出口から出すことで音圧を高める装置です。ドライバーは吹き込み口に取り付けてありますが、口が小さいので圧力をかけなければなりません。そのため専用のドライバーが必要になるわけです。吹き込み口でかかった圧縮エネルギーが、出口で音となって現れると思っていいでしょう。ですから通常のコーンやドームのユニットをホーンに取り付けたからといって、本物のホーン・スピーカーになるわけではありません。
◆アンプなどで周波数の近い2つの信号を同時に流すと、その周波数の和や差に相当する別の周波数の信号が発生します。これを混変調歪みといいます。高調波と並んで代表的な歪みですが、高調波のように倍音関係がありませんからいっそう耳に付きやすいという性質を持っています。また和や差のさらにまた和や差といった二次的な混変調も生じます。アンプの性能の基本となる歪みです。