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混迷する現代こそ聴きたい魂の唄声 朝崎郁恵/おぼくり〜ええうみ

混迷する現代こそ聴きたい魂の唄声 朝崎郁恵/おぼくり〜ええうみ:photo
 毎月、少ない小遣いの中で一番最初に買うのは芋焼酎を4本、マイブーム十割蕎麦の昼代を差し引くとCDに捻出できるのは8〜10枚がやっと。そこで強い味方が当サイトの高音質CD紹介。あとは音楽ライターなる人たちが紹介するCDを買うのだが! 文書のノリにつられて買ってしまい後悔することも多々、この人達どんなシステムで聴いているのだろう。シスコンだったりして。そんな中、週刊誌で1ページ、新聞で半段で特集されたものや、TVの音楽特集も購入の参考になる。
 最近感心したのはNHKのオペラ特集。日本ではCLASSICとして認識されているが、欧州では演劇として楽しまれているという特集。

 オペラは舞台上で衣装をつけた出演者が演技を行う点で演劇と共通しているが、台詞だけではなく、大半の部分、特に役柄の感情表現が歌手による歌唱で進められることを特徴としている。演劇と音楽によって構成される舞台芸術、だからこそ恋愛もの(悲恋が中心)が多い。フィガロの結婚などはCD3枚の大作なのでクルマで聴くのは難儀。そこで感情表現が必要となってくるソロで歌われるアリア特集などがお奨め。オペラの傑出した歌手と言っても過言では無いと思うマリア・カラスを機会があったら聴いて欲しい。そのテクニックに裏打ちされた歌唱と心理描写と演技によってオペラの登場人物に血肉を与えた感がある。この心理描写までも含めてカーオーディオで再現したいものだ。

 そしてJ-POP。このユニットはJ−POP向きとかJ−POP向きのシステムに仕上げましたと言う言葉をよく聴くが、それはJ−POPしか聴けないと言うことで余りよい響き(極端にいうと駄目と同意語かも?)ではない。反感を恐れず敢えて言えばウオークマンで聴くために創られた楽曲がJ−POP、カーオーディオで聴くには役不足! そんな中、安室奈美恵のベストアルバム「BEST FICTION」が、8月25日付けオリコンアルバムランキングで3週連続の首位を獲得。累積売上も109万枚を記録しミリオンを突破。遂に日本にも真のポップス歌手が生まれた。ポップス歌手「安室奈美恵」は今や注目株、カーオーディオで聴くに値する歌姫が登場したのである。

 激戦注目26選挙区の当落なるタイトルに惹かれて買った週刊誌に特集されていた歌手の記事で衝動買いしたCDが、「朝崎郁恵Featuring Bestおぼくり〜ええうみ」。あさざき いくえ、1935年11月11日生まれで御年73歳。奄美島唄の伝統を守りながら、新たな表現を目指して活動を続けてきた島唄の唄者、朝崎郁恵のキャリア初のベストアルバムである。10代で天才唄者として活躍、1997年にインディーズからリリースの「海美」に収録された「おぼくり〜ええうみ」が細野晴臣らによりJ−WAVEで紹介され、一躍世に知られるように。67歳の2002年、UAがゲスト参加したアルバム「うたばうたゆん」でメジャーデビュー。各地のブルーノートに出演するなど数多くのコンサートをこなしている。

 聴いた人は涙が止まらないといわれる代表曲「おぼくり〜ええうみ」をタイトルとしトラック1に収録し全16曲の大作である。ジャズやポップスなど島唄とは別の世界から評価され多くのコラボレーションを生み出していただけに、ピアノやギターのアーチストと創り上げた新しい型の島唄が聴ける。ピアノは高橋 全、黒木千波留、ウォン・ウィンツァン。 ギターはゴンチチにSUGIZO、ゲストヴォーカルにUAや中 孝介と多彩。おぼくり〜ええうみを聴きながらこの原稿を書いているのだが、奄美の島唄をジャズのコール・アンド・レスポンス(掛け合い演奏)の様で、其れでいてもの悲しげなブルースを感じる大作である。
 これからはオケとも共演してみたいという元気でいて哀愁さえ感じる歌声の唄者、これからも個性溢れる素晴らしいアーティスト達とのコラボ作品を期待したい。

2008/9/8(竹内賢治)

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