【三菱 デリカD:5 試乗】ロングセラーの理由は“オンリーワン”の立ち位置…高山正寛 | Push on! Mycar-life

【三菱 デリカD:5 試乗】ロングセラーの理由は“オンリーワン”の立ち位置…高山正寛

それは1本のメールだった。「久々に『デリカD:5』に乗ってみませんか?」という内容。拒む理由もないし、逆に言えばしばらくご無沙汰しているクルマのひとつでもある。

自動車 試乗記
三菱 デリカD:5 シャモニー
  • 三菱 デリカD:5 シャモニー
  • 三菱 デリカD:5 シャモニー
  • 高山正寛氏
  • 高山正寛氏
  • 三菱 デリカD:5 ローデスト ロイヤルツーリング(左)とシャモニー(右)
  • 三菱 デリカD:5 シャモニー
  • 三菱 デリカD:5 シャモニー
  • 三菱 デリカD:5 シャモニー

それは1本のメールだった。「久々に『デリカD:5』に乗ってみませんか?」という内容。拒む理由もないし、逆に言えばしばらくご無沙汰しているクルマのひとつでもある。

思い起こせば『デリカD:5』が登場したのは2007年の1月、まもなく10年が経とうとしている。もちろん、数回のマイナーチェンジも実施されているし、2012年12月には待望のクリーンディーゼルがラインナップされたことも記憶に残っている。それにしても「ええ、もう10年経つの?」と思いながらも正直、それほどエクステリア、インテリアとも古さを感じさせないのは不思議な位だ。

◆タフなオフロード走破性とミニバンらしい乗り心地の両立

元々デリカというブランドは三菱の1BOX車の歴史の中でもタフなオフロード走破性を持つ、デリカスペースギアの直系となる実質的な後継モデルだ。D:5は乗用車的な乗り心地を持つミニバンではありながらスペースギア同様に悪路走破性をもつSUVという2つの顔を持っている。

いや正確に言えば、この2つを両立した非常に珍しいタイプのクルマであることを知っている読者も多いことだろう。210mmの最低地上高や24度のアプローチアングルと18度のランプブレークオーバーアングル、22.5度のディパーテッドアングル(いずれもD:5の4WD車)という数値はラフロードなどでもアンダーボディをヒットしにくい。

これに三菱が誇るAWC(オールホイールコントロール)技術やASCなどの充実した安全装備を早い時期から搭載していたが、不思議なのが他メーカーがこの領域に参入しなかったこと。確かに「リブボーンフレーム」と呼ばれる骨格構造などにより、この手のクルマとしては極力軽量化を達成しながら、衝突時の安全性や乗り心地を両立させることはそれなりにコストもかかる。しかし、そこは『パジェロ』に代表される同社のクルマ作りの強みであり、市街地から悪路まで走れるオールラウンダーというわけだ。

◆2台の特別仕様車に試乗

今回用意された2台のデリカD:5は、10月27日に発表された特別仕様車である「CHAMONIX(以下:シャモニー)」と「ROADEST ROYAL TOURING(以下:ローデスト ロイヤルツーリング)」だった。

特にシャモニーはスペースギア時代から人気の高い特別仕様車で登場するたびに販売は好調、理由は簡単でその名の通り、より充実した装備を装備化しながら買い得感の高い価格設定となっているからだ。

D:5になってから8回目となる新しいシャモニーだが、今回はクリーンディーゼルを搭載する「D-Power package」をベースにメッキパーツを多様したエクステリアや本木目&本革巻ステアリングホイールを採用したインテリアなど標準グレードより質感がアップしている。補足だが、運転席パワーシートが装着されたことや7インチのメモリーナビゲーション(MMCS)の装着も有無で選択できる。

一方のローデストはセカンドシートをキャプテンシートとし、さらにブラックの本革シートを装備している点が魅力。また前席にはシャモニー同様シートヒーターも内蔵している。

◆ピックアップの良さや静粛性は地味ながら進化

今回のシャモニー、ローデストとも同じパワートレーンを搭載するが、試乗のメインはシャモニーで行った。2.3リットル直4ターボを搭載するクリーンディーゼルだが、このエンジンが導入された時に比べるとアクセル開度に対するピックアップの良さや静粛性は地味ながら(失礼)確実に進化している。現在ではクリーンディーゼル車もかなり増えてきている中、先駆者とも言えるD:5のディーゼルの静粛性もなかなかのレベルと言える。何よりもディーゼルの特性である低回転域からの十分とも言えるトルクの出方は、街中から高速まで切れ目のないスムーズさを感じさせる。

そしてもうひとつ強く感じたのがこれだけ重心高の高いクルマでありながらコーナリング時のロール感、つまりステアリングを戻した際の車両の動きに変な“ブレ”が少ないことだ。4輪を常に制御しているAWCによる部分は大きいはずだが、変にそれらが効いているという感じはさせず、あくまでも自然に車両が動くのはこのクラスのクルマとしては利点と言える。

外観もそうだったが、室内に乗り込んだ際に「あー10年近く経っているけど別にインパネの仕上げとか、これはこれで有りだな」というのも素直な感想。デザインの世界は常に進化している中、ロングセラー商品として考えるとこの後も長く付き合えそうなデザインやオンリーワンとしての立ち位置を持つ希有な存在なのかもしれない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

高山正寛│ ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員
1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車&カーAVを担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関わる。カーナビゲーションを含めたITSや将来の自動運転も視野に入れた先進技術の事象を網羅。ITS EVANGELIST(カーナビ伝道師)として市販、純正問わず最新カーナビをテストし布教(普及)活動を続ける。またカーナビのほか、カーオーディオから携帯電話/PC/家電まで“デジタルガジェット”に精通、そして自動車評論家としての顔も持つ。

《高山 正寛》

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