カーオーディオ、スペシャル・キーワード解説。特に分かりにくい用語を徹底研究! 第2回「繋がり」って、何? | Push on! Mycar-life

カーオーディオ、スペシャル・キーワード解説。特に分かりにくい用語を徹底研究! 第2回「繋がり」って、何?

カーオーディオを楽しんでいると、意味が分かりにくい用語に遭遇することがある。今回は3日連続で、特に難解だと思われる言葉について、集中的に解説している。2回目となる今回は、「繋がり」について深掘りしていきたい。

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トゥイーターの装着例。製作/フィスト(北海道)

カーオーディオを楽しんでいると、意味が分かりにくい用語に遭遇することがある。今回は3日連続で、特に難解だと思われる言葉について、集中的に解説している。2回目となる今回は、「繋がり」について深掘りしていきたい。

■トゥイーターとミッドウーファーの「繋がり」とは…。

「繋がり」とは、セパレートスピーカーにおいての、または、フロントスピーカーとサブウーファー間においての、“音の一体感”のことを指して使われることが多い。

ところで「ステレオ」とは、音楽を2chに分けて録音し、それぞれを左右のスピーカーで再生するシステムだ。そのようにすることで、録音した音楽が、まるで目の前で演奏されているかのように、リアルに、立体的に感じられる。これが「ステレオ」の理屈である。

リアルで立体的なサウンドステージが目の前に広がると、スピーカーから音が聴こえてくる感じがしなくなる。スピーカーの存在感が消えるのだ。

このような聴こえ方がしているクルマの多くは、片側のトゥイーターとミッドウーファー間でも、次のような状況が成立しているはずである。「バランス」を操作して片側の音をミュートして、片側のスピーカーの音だけを聴いてみると、トゥイーターとミッドウーファーそれぞれから音が聴こえてくるのではなく、2スピーカーの間の1点から音が聴こえてくる、という状況が作られているのである。

その状態こそがまさに、トゥイーターの音とミッドウーファーの音が、「繋がって」いる状態なのである。2ウェイスピーカーであるのに、2つのユニットの間に、フルレンジスピーカーがあるかのような聴こえ方となることを目指すべきなのだ。

このような状態を作るためには、「タイムアライメント」を駆使して時間軸を揃える必要があり、さらには、「位相」も整えなければならない。「位相」を揃えるためには、「クロスオーバー」調整を的確に行い、そこからさらに「タイムアライメント」で微調整を加える等をしていくこととなる。

こうして、トゥイーターとミッドウーファーが上手く「繋がる」と、最終的な仕上がりのクオリティも上がっていく。各ショップとも独自のノウハウを発揮して、トゥイーターとミッドウーファーの音の一体感を出すために、じっくりと追い込みをかけていく。

■トゥイーターとミッドウーファー間の音色の「繋がり」も、重要項目。

また、高音から低音までの音色の統一感があるか否か、という観点で、「繋がり」という言葉使われることもある。

スピーカーの中には、トゥイーターとミッドウーファーの振動板に、同一素材を用いる製品も少なくない。本来は、トゥイーターとミッドウーファーでは大きさも異なるので、トゥイーターに向いた素材、ミッドウーファーに向いた素材、それぞれがあり、同一素材は使いにくい。しかしそういった製品は、音色的な「繋がり」にこだわって、敢えて統一素材を使っているのである。

とはいえ、同一素材であること=高性能、とは限らない。そこのところがスピーカーの性能の善し悪しのすべてではない。しかし、同一素材であることには、大きな意味があることも事実なのである。

音色的な「繋がり」においては、パワーアンプの使い方も影響してくる。トゥイーターとミッドウーファーに、同一モデルや同一シリーズを使うことがセオリーとなるのだ。異なるメーカーのアンプを使うと、音色的な「繋がり」が阻害される可能性が高まる。システムアップの途中でやむなく使用するアンプが異なってしまうこともあるかもしれないが、最終的には同一アンプで揃えるべきなのだ。

■フロントスピーカーとサブウーファーが『繋がる」と、音が前方に定位する!

次には、サブウーファーとフロントスピーカー間における「繋がり」について考えてみたい。その2者が「繋がった」ときには、後方に設置してあるはずのサブウーファーの音が、しっかりと目の前から聴こえることとなる(この状態は「前方定位」と称される)。

フロントスピーカーとサブウーファーの音を「繋げる」ためにもまた、「タイムアライメント」と「位相」の両方を整える必要がある。調整技術を駆使して、それは実現されるのだ。

なお、サブウーファーの置き場所を変えることも、「位相」を整えるための1つの方法となる。もしもサブウーファーの音が上手く前方定位しない場合は、可能であれば置き場所を変えて実験してみると良いだろう。

ところで、調整が上手くいったとき、なぜに低音が前方定位するかというと…。それを説明するキーワードは“指向性”だ。

高音ほど“指向性”が強い。まっすぐに進む性質が強いのだ。結果、音源がどこにあるのかを感じやすい。対して“指向性”が弱い低音は、どこに音源があるのかが分かりづらい。であるので、フロントスピーカーの音とサブウーファーの音が「繋がる」と、“指向性”が強い高音に引っ張られて低音も前から聴こえてくるように感じられる、という次第なのである。

さて、「繋がり」についての解説は以上だ。帯域ごとに担当スピーカーを使い分けるシステムにおいては、各スピーカーの音が「繋がる」かどうかは非常に重要な問題だ。取り付けを確実に行い、その上で調整を綿密に追い込んで、「繋がり」の良いステレオサウンドを楽しんでいただきたい。

《太田祥三》

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