カーオーディオ、スペシャル・キーワード解説。特に分かりにくい用語を徹底研究! 第1回「位相って、何?」 | Push on! Mycar-life

カーオーディオ、スペシャル・キーワード解説。特に分かりにくい用語を徹底研究! 第1回「位相って、何?」

カーオーディオには難解な用語がいくつかある。今回はその中でも、特にわかりにくい用語について、掘り下げて解説していこうと思う。3日連続で展開する。まず今回は、サウンドチューニングについて語られるときに聞かれることの多い、「位相」についてお伝えしていく。

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カーオーディオには難解な用語がいくつかある。今回はその中でも、特にわかりにくい用語について、掘り下げて解説していこうと思う。3日連続で展開する。まず今回は、サウンドチューニングについて語られるときに聞かれることの多い、「位相」についてお伝えしていく。

■音は、水面を伝う波紋にように「周期」を繰り返して進んでいく…。

音は、空気を震わせることで伝わっていく。湖に石を投げ入れると、水面に波紋が広がっていくが、空気中でも同じようなことが起こっている、とイメージしてほしい。

水面を伝う波は、一旦盛り上がり、そして次には水面よりも低い地点まで盛り下がり、そしてまた水面と同じ高さまで帰ってくる。この運動が「1周期」であるのだが、音も、これと同様に「周期」を繰り返して空気中を伝わっていく。

ところで「周波数」という言葉がある。これは、1秒間に何回周期を繰り返すかを示す数値だ。高い音ほど、1秒間に繰り返す周期の数が多くなる。例えば、1kHz(キロヘルツ)の音は、1秒間に1000回もの周期を繰り返している。

ちなみに、音の進む速度は、約340m/s(= 1225km/h)である。気温によって変化するのだが、大体このくらいのスピードである。

高い音も、低い音も、速度は同じだ。従って、音の高低によって、1つの周期の長さが異なってくる。例えば100Hzの音があったとする。100Hzは1秒間に周期を100回繰り返す。音は1秒間に約340m進むので、100Hzの音の1波長は、約3.4m、ということになる。対して1kHzの音ならば、1秒で340m進む間に周期を1000回繰り返すので、1周期の長さは、0.34m、ということになる。

さて、「位相」である。「位相」というのは、“1周期の中での特定の局面”、のことを指す言葉だ。もっと簡単に言ってしまおう。「1波長の中のどこか」ということである。

ところで、「正相」と「逆相」という言葉がある。これらの言葉の意味も解説しておきたい。「正相」とは、0度から始まって、0度に戻るまでを繰り返す音波のことを指す。それに対して「逆相」とは、180度のところから始まって180度のところに戻る音波だ。水面を伝う波紋で考えると、「逆相」の音波は、最初に盛り下がり、そして水面の高さまで戻ってきてから今度は盛り上がり、そして水面の高さまで戻る、という動きとなるのだ。

文字通り、「正相」と「逆相」では、波形が真逆の状態となっているのだ。

■2つの音の、音波のタイミングがズレると、不具合が発生する…。

今度は、「位相がズレる」という言葉について、その意味を考えていきたいと思う。2か所から同じ音が発せられたとき、それぞれで、周期の始まるタイミングがズレたとき、「位相がズレている」という状態になる。音が1つだったら、「位相」がどのような状態であっても問題ないのだが、音が2つになったとき、それぞれで「位相」が異なると問題が出てくる。ズレると、2つの音がキレイに重なり合わず、音に一体感が出てこない。

2つの音が、「逆相」の関係になったときは最悪だ。音波の形が真逆になると、お互いを打ち消し合う「キャンセリング」という減少が発生してしまう。

トゥイーターとミッドウーファーから出る音は、帯域分割されているのだが、クロスポイントの周辺の音に関しては、トゥイーターからもミッドウーファーからも、同じ音が出てくることとなる。もしも、トゥイーターとミッドウーファーの「位相」がズレると、その両方から発せられる音が、うまく混ざり合わない。つまり、「トゥイーターとミッドウーファーの音が、上手く繋がらない」という現象を引き起こしてしまうのだ。

「位相」のズレは、左右のスピーカー間でも起こり得る。例えば、右chの音波は0度のところから始まる音波であり、左chの音波が30度のところから始まる音波だったとしたら、これらは、「30度ズレた状態」であるわけだ。左右の音が上手く混ざり合わず、音像定位がぼやけてくる等の不具合が発生することとなる。

「位相」についての解説は以上だ。最後にまとめておきたい。

「位相は音波のタイミングである。2つの音の関係において、音波のタイミングにズレが生じると、問題が発生する」

カーオーディオにおいて、「位相」の管理はとても重要だ。音の善し悪しに、大きな影響を及ぼすからである。

さて、明日は、「定在波」について深掘りしていこうと思う。明日もお付き合いいただけたら幸いだ。

《太田祥三》

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