【NEE2016】ICT機器導入時に考慮すべき3つのポイント | Push on! Mycar-life

【NEE2016】ICT機器導入時に考慮すべき3つのポイント

 6月2日から開催されているNEEでは、「最先端のICT技術」や「教材の価格」が来場者の目をひいている。しかし、小中学校の教師目線では「教材の丈夫さ」も重要な評価ポイントのひとつになっているようすだ。

教育 教育
Owltech(オウルテック)のタブレット・iPad用ケース展示 手前の黒いケースは、シリコン製で伸縮する新製品。教育系展示会で参考品として出展したところ、反響が多く、今年度中の製品化を決定したという
  • Owltech(オウルテック)のタブレット・iPad用ケース展示 手前の黒いケースは、シリコン製で伸縮する新製品。教育系展示会で参考品として出展したところ、反響が多く、今年度中の製品化を決定したという
  • 内田洋行が展示する算数・数学用教材「立体図形構成模型」 1セット36,504円(税込)
  • 立体図形模型の辺にはマグネットが仕込まれているため、黒板上で図形を現すことができる 内田洋行「立体図形構成模型」
  • 富士通「ARROWS Tab Q506/ME」 水にぬれた状態でもタッチペン操作にすばやく反応

 6月2日から東京・有明の東京ファッションタウンビル(TFT)で行われている「New Education Expo 2016(NEE2016)」では、教育業界の最新トレンドや教育現場でのICT教材活用事例が数多く展示されている。

 来場者の目をひいているのはやはり「最先端のICT技術」や教材・教具・機器の「価格」であるが、小中学校の現場目線では教材や機器の「丈夫さ」も重要な評価ポイントのひとつになっているようだ。そこで、会場の各ブースをめぐり、ICT機器導入を検討する際に覚えておきたい3つのヒントを探してみた。

導入検討ポイント1:教育現場での利用が想定されているか

 NEE2016で展示されている教材・教具はICT機器のみに留まらない。「教材・学校環境設備」ゾーンでは、内田洋行の教育機器事業部が算数・数学用の立体図形構成模型を展示している。立体模型の辺にマグネットが仕込まれており、机はもちろん、黒板上でも立体を作ったり、展開したりと、立体構造が理解しやすくなる教材だ。

 教材を見ている途中、手がすべり筆者は立体模型を床に落としてしまった。展示品を落としてしまった、と冷や汗をかいたが、ブース担当者いわく「そのくらいでは大丈夫。」聞けば、「学校現場で利用される教材だからこそ、すぐ壊れるようでは安心して使えません」という。立体図形構成模型の材質は、一般に普及しているポリプロピレンが使われており、特に抜きん出た特殊な素材を使っているわけではない。しかし、一般的な素材であるからこそ手に馴染みやすく、マグネットの強度もしっかりしているため、手間なく展開や組立てができる。

 ICT機器や教材を購入する際には、利用目的に合っているかの見直しや価格の確認が必要なのは言わずもがな、教育現場での利用を前提にした設計かどうかという点や、安全・安心な材質であるか、落としても大丈夫か、などの耐久性を確認する必要もありそうだ。

【次ページ】「導入検討ポイント2:大破を避ける予防線を張れる製品か」へ

導入検討ポイント2:大破を避ける予防線を張れる製品か

 “ICT教育熱”が高まる中、多くの教育現場が導入を検討しているのはやはりタブレットだろう。しかし、1台1台の価格が高いため、複数台の購入を考慮すると費用の工面が課題のひとつになるうえ、高校や大学ではそれほど心配はないが、小中学校ともなると機器の扱い方にも不安が残る。破損・大破したタブレットの修理費も、事前に考慮しておきたいポイント。会場では、「せいかつの授業(町を探検する授業)中にタブレットを落とした子がいて、画面にヒビが入ったことがある」(広島県小学校教諭)という教育現場の声も聞こえてきた。機器の破損予防や使い勝手の向上を提案するため、Owltech(オウルテック)はタブレット用の保護ケースを展示している。

 保護ケースの素材は、おもに柔らかいシリコン素材とEVA素材のふたつ。EVA素材とは、ポリエチレンよりも柔らかく、弾力があり、軽量で無公害の素材だという。近年ではEVA素材でできたサンダルが人気を呼び、世間の注目を浴びたことが記憶に新しい。EVA素材のケースは衝撃を吸収するため、野外活動で子どもたちがタブレットを落としたとしても、通常利用の範囲内ならタブレットが大破することは回避できそうだ。水洗いもできるため、衛生面での安心もある。どういった場面でタブレットを利用するかを考えた際、屋外での利用も考慮するなら用意しておきたい用品のひとつだ。

 高額な教材や教具、ICT機器は、教師や児童・生徒など、自分でどこまで丁寧に利用できるか、また、きちんと保存できるか、という観点も心に留めておきたい。

【次ページ】「導入検討ポイント3:そもそも機器が丈夫であるか」へ

導入検討ポイント3:そもそも機器が丈夫であるか

 タブレットの導入を考えるなら、タブレット自体の堅牢性や破損原因への対策がなされているかも重要な確認ポイントのひとつ。タブレットが破損する原因の多くは、机からの落下や通学鞄の中での圧迫、水漏れやホコリによるもの。市販されているタブレットは防水や防塵加工がなされていないものがほとんどだが、富士通は文教モデルのタブレット「ARROWS Tab Q506/ME」に防水・防塵加工を施し、堅牢性も重視した。

 展示ブースではARROWS Tab Q506/MEがそのまま水の流れる水槽の中にひたされており、ブースを通りかかる来場者からは驚きの声があがっていた。ARROWS Tab Q506/MEは、理科室や家庭科室など、水回りでの授業のほか、屋外利用の突然の雨でも安心して使えるように防水設計を採用。また、防塵設計も取り入れたことで、校庭や公園など、砂埃の多い場所でも安心して利用できるという。タブレットの額縁は丸みを帯びた形状になっており、万が一落下させてしまった場合でも破損しにくいデザインになっている。

 タブレットやICT機器の価格は高価になりがちで、その分に見合う高い性能を重視しがち。しかし、長期的な目で費用対効果を考えた際には、機能だけではなく、機器本体の丈夫さや子どもたちの利用シーンも購入前に考慮すべき項目に入れておきたい。

《佐藤亜希》
page top