3ウェイのメリットを手軽に得られる新機軸スピーカー MTX AUDIO『IMAGE PRO』を、徹底テスト! Part.4「IP863」編 | Push on! Mycar-life

3ウェイのメリットを手軽に得られる新機軸スピーカー MTX AUDIO『IMAGE PRO』を、徹底テスト! Part.4「IP863」編

革新的なコンポーネントスピーカーとして話題を集めている、MTXオーディオの『IMAGE PRO』。その実力を検証するリポートを連載でお贈りしている。今週はいよいよその最終回だ。

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MTXオーディオ・IMAGE PROシリーズ「IP863」
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革新的なコンポーネントスピーカーとして話題を集めている、MTXオーディオの『IMAGE PRO』。その実力を検証するリポートを連載でお贈りしている。今週はいよいよその最終回だ。

トップエンドモデルである「IP863」の試聴記を、詳細にお伝えする。

“本格”であることを特長とするトップエンドモデル、「IP863」。


『IMAGE PRO』シリーズは、グレードによって各モデルの価格差が結構大きい。最廉価の「IP432」(税抜価格:3万8000円)は、ミッドウーファーレスのチューンナップユニットであるので特別だが、3ウェイコンポーネントのベーシックモデル「IP463」の税抜価格は5万5000円。そしてトップグレードの「IP863」が税抜価格13万8000円。「IP463」とは、約2.5倍の価格差だ。

ゆえに当機「IP863」は他モデルと比べ、フレームや磁気回路、そして振動板とすべてが上質だ。ミッドウーファーの作りを見ても、さすがに完成度が高い。振動板の素材そのものは2ndグレードの「IP663」と同様のカーボンファイバーであるが、バスケットは高精度なアルミダイキャスト製になり、磁気回路もさらに強化されている。見た目の雰囲気もいかにもMTXオーディオらしい無骨なフォルム。風格がある(また当機には、専用のアタッシュケースも用意されている)。

ちなみに、“SEE”(Sound Enhancement Enclosure)という一体構造のエンクロージャーに収められているミッドレンジも、このミッドウーファーを踏襲した構造になっている。ミッドレンジにも、より強力な磁気回路、より剛性の高いフレームがおごられているのである。さらには、トゥイーターも特別な一品だ。25mmのシルクドームタイプとなっていて、口径も他モデルと比べてひと回り大きい。

なお、当「IP863」のみ、マルチアンプシステムでの使用を想定したスピーカーシステムのため、パッシブクロスオーバーネットワークは付属していない。3ウェイ以上に対応したDSPのアクティブクロスオーバーと、トゥイーター、ミッドレンジ、ミッドウーファーをマルチアンプドライブするために6ch分のパワーアンプが必要となる。別途、パッシブクロスオーバーネットワークを用意する手法もあるが、現実的にはDSPを用いてマルチアンプシステムで鳴らすケースがほとんどだろう。

つまり当機は、他のモデルのように、“簡単”に“手軽”に3ウェイが組める、という製品ではない。インストレーションにおいては通常の3ウェイよりは“簡単”ではあるが、あくまでも、“本格”仕様なのである。

MTXオーディオ・IMAGE PROシリーズ「IP863」
MTXオーディオ・IMAGE PROシリーズ「IP863」MTXオーディオ・IMAGE PROシリーズ「IP863」MTXオーディオ・IMAGE PROシリーズ「IP863」

ステージを立体的に表現する能力がすこぶる高い。音色も実に上質。


それでは、インプレッション・リポートに入ろう。最初に試聴システムからご紹介しておきたい。基本的には、「IP432」、「IP463」を聴いたときと同じなのだが、当然ながらパワーアンプが追加されている。MTXオーディオの『X Thunder 125.4』(税抜価格:8万4000円)がもう1台用意された。アクティブクロスオーバーは、ソースユニットとして使っていたカロッツェリア『DEH-P01』に内蔵されているものを使用。ケーブル類はすべて、モンスターカーオーディオで統一している。

なお、「IP863」試聴時に設定されていたクロスオーバー値は以下のとおりだ(各フィルターのカットオフスロープは12dBとされていた)。

・トゥイータのハイパス:6.3kHz
・ミッドレンジのローパス:5kHz
・ミッドレンジのハイパス:500Hz
・ミッドウーファーのローパス:400Hz

実際にクルマにインストールした場合は、車室内環境や各ユニットの取付位置によってクロスオーバー周波数の適正値は変わってくるので、あくまでも参考として捉えていただきたい(また以下に、メーカーの推奨値も載せておく)。

[参考/メーカー推奨のクロスオーバー設定値]
・トゥイータのハイパス:4kHz以上
・ミッドレンジのバンドパス:400Hz~5.2kHz
・ミッドウーファーのローパス:450Hz以下(サブウーファーを追加する場合はバンドパス設定に)

さて、スピーカーケーブルが各ユニットに接続され、片側ずつ音を出して接続の確認が行われた。そして異常がないことが確認され、両方のスピーカーから音が放たれると…。

一瞬でサウンドイメージが立体的になった。すーっと音場に奥行きが生まれたのだ。しかも奥行き方向が深い。そして、各楽器の音像も至ってシャープだ。『IMAGE PRO』というネーミングの神髄を見た気がした。お見事だ。

音色も同シリーズ内の他機種と比べて、相当に上質だ。パワーアンプがもう1枚増やされたことの利得でもあるのだが、この音は、完全にハイエンドの領域に入っていると言っていい。高域は緻密で繊細、中域にも充実感があり、低域もレスポンスが良く、量感もたっぷり感じられる。密度も濃い。

コストパフォーマンスはかなり高い。そしてこの音を、ダッシュボード上に“ポン”と置いて手にできるのだ。費用対効果で考えれば当機も十二分に、“簡単”かつ“手軽”なスピーカーであると実感した。

試聴会場/イース・コーポレーション 試聴室
いやはやなんとも、この『IMAGE PRO』シリーズ。実に面白い存在である。“SSE”という独自のエンクロージャーによって、カーオーディオの可能性をぐっと広げてみせている。

『IMAGE PRO』シリーズは、単なる“奇抜なスピーカー”では断じてない。合理性のかたまりのようなスピーカーである。何から何まで、理にかなっている。ポテンシャルはすこぶる高い。

インストレーション費用を極力抑え、かつ、クルマへのダメージも最小限に留めながら、ワンランク上のサウンドを確実に得たい、そう考えたときにはぜひ、『IMAGE PRO』という選択肢を思い出してほしい。エントリーグレードにおいても、ミドルグレードにおいても、それぞれで有力な候補となるだろう。検討する価値は、非常に大きい。

《太田祥三》

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