【クライスラー 300S 試乗】アメリカンフルサイズ、いいですよぉ~…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【クライスラー 300S 試乗】アメリカンフルサイズ、いいですよぉ~…中村孝仁

3サイズ、5070×1905×1495mm。ホイールベース3050mm。あと少しでホイールベース内に軽自動車が収まってしまいそうなほど堂々としたサイズである。

自動車 試乗記
クライスラー 300S
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3サイズ、5070×1905×1495mm。ホイールベース3050mm。あと少しでホイールベース内に軽自動車が収まってしまいそうなほど堂々としたサイズである。

とはいうものの、例えばレクサス『LS460』。その3サイズは5090×1875×1465mmで、基本大差ないのである。昔のようにアメ車=デカいという公式は当てはまらない。因みにレクサスは無鉛プレミアムガソリンを所望するが、クライスラー『300S』はレギュラーガソリンで我慢してくれる。

この300、少し歴史を紐解くと、現行の型式になって今のモデルは2代目。初代が誕生したのは2005年で、2代目デビューは2011年である。初代デビュー当時、クライスラーはダイムラー・クライスラーと呼ばれた社名の時代。この300はそういうわけでメルセデスのプラットフォームを借用して作られたモデルである。

具体的にはW211メルセデス『Eクラス』のリアサスペンションや5速AT、それにワイヤーハーネスなどを使っていた。因みにフロントサスペンションは同じメルセデスでも『Sクラス』のそれを借用していた。2011年に誕生した現行モデルも基本的にシャシーには手を付けず、ボディと全体の品質が一新されたモデルだった。スタイリングは限りなく初代のモチーフが流用されていたが、パネルは完全に一新されており、何より内外装の質感は完全に一変していた。そして5速ATは今やZFの8速ATに変わり、エンジンもクライスラー自慢のペンタスターと呼ばれる3.6リットルV6に変化している。

日本では長く「300C」と呼ばれるモデルが導入されていたが、今は300Sと呼ばれるモデル。まあ、レターを見ればわかるがSの名の通りスポーティーなモデルだ。シートはパフォーマンスシートが標準。リアにはかなり大胆なスポイラーがトランクリッドに付くし、グリルにしても標準モデルとは異なる。と言っても日本市場にはこれとさらに高性能な「SRT8」しか導入されていないから比べようもないが…。

2代目が日本に正式導入されたのは2012年暮れのこと。だから実質的には2013年モデルと言っても良い。この時からエンジンは3.6リットルペンタスターだったし、トランスミッションもZF8速ATだったのだが、改めて最新鋭の300Sに乗ってみると、さらなる進化を遂げていることが分かった。

勿論エンジンがまず違う。従来300に搭載されていたペンタスターは292bhp。これが300Sだと300bhpとなり、日本仕様では286psと表記される。と言ってもエンジンパフォーマンスの違いを感じるほど直近で試乗していないので、違いは不明。足回りもスポーツチューンという仕様に変えられているから、従来のラグジュアリーで快適な足よりも少しはスポーティーなものへと変化しているはずなのだが、相変わらずゆったりとしなやかでラグジャリーな印象には大きな変化はなかった。

その理由として考えられるのは、さらなる生産クォリティーの向上によって室内騒音が低められ、同時に足回りの組み込みなどがより正確に行われることで、動きがスムーズになるなどの理由が考えられるが、いずれにせよスポーツチューンサスペンションを組み込んでこの乗り心地を実現しているなら、文句なしである。

以前はバネ下重量の重さを感じ、少しどたついた印象があったのだが、今はそんなものは皆無。実にスムーズである。チョイノリだったので、勿論燃費の測定などはできなかったが、JC08モードで9.2km/リットルだそうだから、まずまず。何より冒頭に記した通りレギュラーで満足する倹約家である。アメ車はガソリンがぶ飲みとか、垂れ流しとかとかく悪いイメージしかないかもしれないが、今やそれはない。ガソリンもリッター100円程度まで下がっているので、気兼ねせずに乗れるクルマになっている。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

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