【カーオーディオ深層探究】トゥイーターのインストール学 Section.4 「クロスオーバー」について 取材協力/ジパング | Push on! Mycar-life

【カーオーディオ深層探究】トゥイーターのインストール学 Section.4 「クロスオーバー」について 取材協力/ジパング

トゥイーターの取り付けにおけるセオリーの数々を1つ1つ深掘りし、そうすることで、カーオーディオの面白さをも掘り下げていこうと試みている。最終回となる今回のお題は、「クロスオーバー」。ここにはどのようなノウハウがあるのか…。じっくりとお読みいただきたい。

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トゥイーターの取り付けにおけるセオリーの数々を1つ1つ深掘りし、そうすることで、カーオーディオの面白さをも掘り下げていこうと試みている。最終回となる今回のお題は、「クロスオーバー」。ここにはどのようなノウハウがあるのか…。じっくりとお読みいただきたい。

「クロスオーバー」とは、“取り付け”よりも、“調整”の領域にある項目だが、トゥイーターを鳴らす上での基本事項の1つであるので、敢えて最終回のテーマとして取り上げてみる。

取材にご協力いただいたのは、鳥取県の実力ショップ・ジパングの道祖尾(さいのお)さんだ。では早速本題に入っていこう。最初に、「クロスポイント」の決め方からお訊きした。

「まずは前提となる項目があります。それは、“ドアのミッドウーファーがしっかり鳴っていること”。土台を確実に作り上げないと、上が正しく乗っていきません。

なお、サブウーファーを導入する場合においても、ミッドウーファーがワイドレンジで綺麗に再生できるかどうかがポイントとなります。再生帯域が最も広いミッドウーファーを基準に、サブウーファーのローパスとミッドウーファーのハイパスのカットオフ、スロープ、タイムアライメントを決定していくのが分かりやすいですね。要は、上に対しても、下に対しても、ミッドウーファーがキモになる、というわけです。

そうしてミッドウーファーをしっかりと鳴らすことができたなら、今度は、ミッドウーファーが“どこまで伸びるか”を確認していきます。スペックを見れば物理特性を知ることができますが、あくまでも聴いて確認することが大切ですね。車室内形状、取り付け位置、リスニングポジション等々で、ミッドの伸び方も変わっていきますので。

このように、ミッドの能力の範囲を見極めて、その中で設定することが、最大のポイントだと考えています」

次に、スロープ設定においてのポイントをお訊きした。

「スロープの設定は、さらにシビアに追い込む必要がありますね。スロープの数値を変えるごとに位相が回っていきますので、それを上手く管理できないと、良い結果を得られません。繋がりを確認しながら、タイムアライメントも微調整して、位相を整えながら慎重にスロープを決めていきます。

クロスポイントとスロープを調整していくにあたっての気を付けるべき点は、“情報量を欠落させない”、ことですね。自分にとっての“リファレンス”(基準となる音)を持つことが大切で、聴感で、“リファレンス”と同じ情報量を確保できているかを確認しながら、追い込んでいきます」

“情報量を欠落させない”ための、“傾向と対策”はあるのだろうか…。

「状況によってさまざまですから、明確な“公式”は存在しません。場合によっては、ミッドウーファーにローパス(ハイカット)をかけないことすらありますし。位相が回ることもありませんから、むしろそうしたほうがいい、というケースもあり得るんですよ。

敢えて言うのなら、ミッドウーファーとトゥイーターの距離が近く、かつシートポジションが低いクルマの場合は、比較的に急峻なスロープでスパッと切っても大丈夫な傾向はあります。

それに対してミニバンのように、ミッドウーファーとトゥイーターの距離が遠くなる場合は、調整がよりシビアになっていきます。“中ヌケ”が起こりやすいんです。これに対処するには、とにかく“リファレンス”に近づけられるように努力するのみですね。聴きながら、いろいろと試しながらじっくりと追い込んで行きます」

続いて、3ウェイにおいての、トゥイーターとミッドレンジ(スコーカー)間の「クロスオーバー」調整についてもお訊きした。

「3ウェイにはメリットが多々ある反面、難易度も高くなります。クロスオーバーに関しても、位相ズレを起こすポイントが増えるわけですので、コントロールが難しくなりますね。

やはりここでも、ミッドウーファーをしっかりと鳴らすことが重要です。そして、下の音に対して上の音を、“真芯”に乗せていくように心がけています。こうして、ミッドウーファーの音に対してミッドレンジの音を正しく載せた後、ミッドレンジとトゥイーターのクロスオーバーを追い込みます。もしそれが上手くいかなければ、もう1度、ミッドウーファーとミッドレンジのクロスオーバー調整に戻ることもありますね。下から見直す必要があるケースも、往々にしてあるんです。

とにもかくにも、“リファレンス”に対してどう違うのか、それを考えながら進めていくのみです。調整が決まっていけば、音色と音場が“リファレンス”どおりに自ずと仕上がっていきます。それらは意図して作るものではなくて、結果として自然に出来上がってくものなんですね。それを目指して、総合的に整えていこうと考えています」

道祖尾さんにお訊きしたお話は以上だ。ポイントは「情報量の欠落に注意する」ことと「下から正しく積み上げる」、この2点に集約される。そして、やはりここでも、単純なマニュアルは存在しなかった。しかし、答は1つ。「もともとの音源どおりに再生できること」。そこに向かって、丁寧にもろもろを整えていくしかないのである。

話は至ってシンプルだ。しかし、シンプルなことほど実践するのが難しい…、なんてことはよくある話だ。カーオーディオも、まさにそうなのである。しかし、だからこそ面白い。この面白さを多くの方々に味わっていただきたいと、切に願う。

《太田祥三》

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