【シネマ羅針盤】スピルバーグ、新作『ブリッジ・オブ・スパイ』で挑んだ“知的活劇” | Push on! Mycar-life

【シネマ羅針盤】スピルバーグ、新作『ブリッジ・オブ・スパイ』で挑んだ“知的活劇”

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『ブリッジ・オブ・スパイ』-(C) Twentieth Century Fox Film Corporation and DreamWorks II Distribution Co., LLC. Not for sale or duplication.
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とびっきり豪華なおせち料理ともいえる『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の後には、良い意味でオーソドックスな味付けの上質な作品が見たくなるはず。そんな映画ファンには、スティーブン・スピルバーグ監督の最新作『ブリッジ・オブ・スパイ』がオススメだ。

実話をもとに、アカデミー賞俳優のトム・ハンクスと4度目のタッグを組む本作。米ソの冷戦が激化した1950~60年代を舞台に、アメリカ人弁護士ジェームズ・ドノヴァンが、かつて弁護を担当したソ連の老スパイと、ソ連の捕虜となったアメリカ人パイロットの交換交渉を進めるため、東西分裂中のベルリンで孤軍奮闘する。老スパイ役のマーク・ライランスが、すでに8つの映画賞で助演男優賞に輝いており、オスカー本命と目されている。

一言で表せばスピルバーグ流の“知的活劇”。まさにベルリンの壁が建設されつつある混迷のベルリンに乗り込み、手の内を見せないソ連側と粘り強い交渉を繰り広げるドノヴァンの姿は、「正義と真実を求める」という意味では、スピルバーグ監督がこれまで生み出していた冒険ヒーローに通じるものがある。違いがあるとすれば、ドノヴァンが政府の人間ではなく、保険法を専門にした弁護士…つまり、ありふれた一市民だという点だろう。

自国を脅威にさらすスパイを弁護したことで、愛する家族をも危険にさらすことになるドノヴァン。それでも「誰もが平等な裁判を受ける権利を持つ」という信念、そして老スパイとの交流を通し、立場は違えど愛国心に変わりはないと共鳴し合う人間性が、主人公を特別な存在に押し上げる点が、生粋のヒューマニストであるスピルバーグ監督らしい。ドノヴァンの誠実さはそのまま、常に観客に対し謙虚さを忘れないスピルバーグそのものだ。

『宇宙戦争』『ミュンヘン』と2本の監督作が全米公開されたのが、2005年のこと。まるで同窓会のようだった『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』、片や最新技術で仏コミックを映像化した『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』の2作品で冒険活劇を再定義し、『戦火の馬』『リンカーン』と重厚感あふれる大作を成功させた監督にとって、最新作『ブリッジ・オブ・スパイ』はこの10年を総括する、静かなる集大成といえそうだ。

スピルバーグ監督といえば、ロアルド・ダール(『チャーリーとチョコレート工場』)による児童小説を原作に、少女と巨人の冒険を描いた最新作『The BFG』(原題)が今夏、全米公開される予定で、こちらも楽しみになってきた。

『ブリッジ・オブ・スパイ』は1月8日(金)より公開。
《text:Ryo Uchida》

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