日本漢字能力検定協会による2015年「今年の漢字」が全国から寄せられた129,647票の応募により決定し、世相を反映した漢字一文字に「安」が選ばれた。安保法案やテロ問題、異常気象など2015年は「不安」「安全」「安心」を考えた年であったことが表れる結果となった。
「今年の漢字」は、日本漢字能力検定協会が毎年年末に全国から今年一年の世相を表す漢字一字を募集し、もっとも応募数の多かった漢字を発表しているもの。2015年も11月1日~12月8日までの期間、はがきやWebサイト、応募箱、団体での応募を募集。総数129,647 票もの応募が全国から寄せられ、集計結果が12月15日に京都・清水寺にて発表された。
2015年の「今年の漢字」に選ばれたのは、5,632票(4.34%)を集めた「安」。 「安」倍政権の下、「安」保法案の採否をめぐり国会が大荒れ、各地でデモが起こるなど戦後70年の節目にこれからの日本の平「安」を広く国民が考えた。また世界ではテロが頻発し日本人も巻き込まれるなど「安」全が脅かされる事態に。地球規模での異常気象による台風・豪雨・洪水などの災害で人々が不「安」を抱えた。さらにマンションの杭打ちデータ不正など暮らしの「安」全が揺らぐ一方、「『安』心してください、はいてますよ」のフレーズでとにかく明るい「安」村が大ブレークするなど、まさに2015年の世相を表した漢字一文字となった。
応募者からは「安」を選んだ理由について、「日米安保の一大転換やテロの多発、今年ほど安全安心について考えた年はない」「安保法案の国会通過と建築分野の偽装。安全性への不安を感じた」「天気も不安定で安心と不安が交錯した年だった」「安心してください、はいていますよ。で『安』をよく目にした」「安倍首相、安全保障問題、中国発の株安」などの意見が寄せられた。
2位に選ばれたのは「爆」。理由には「中国人の爆買い」「火山の噴火爆発」「爆弾低気圧による災害」「パリの爆弾テロ」「ラグビーの爆発的人気」などがあげられた。3位は「戦」で、「戦後70年の節目の年」「安保法案をめぐる国を二分する戦い」「テロに立ち向かう戦いの年」「アスリートの戦いぶりに感動」などの理由があげられた。
毎年「今年の漢字」に選ばれた一文字は、12月12日の「漢字の日」に京都・清水寺にて大きく揮毫し清水寺のご本尊に奉納する儀式を行っている。今回は12日が土曜日にあたることから清水寺と参拝客に考慮し15日に実施。日本漢字能力検定協会は「『安』に託された今年の世相が清められ、これから迎える新年が明るい年になることを願ってやまない」とこの行事に対する思いを寄せた。