【スバル フォレスター 試乗】思わず「これ日本車?」滑らかな乗り心地に感心…中村孝仁 | Push on! Mycar-life

【スバル フォレスター 試乗】思わず「これ日本車?」滑らかな乗り心地に感心…中村孝仁

基本的に性格が疑ってかかる傾向にあるので、滅多なことではべた褒めというクルマはない。ところが今回のスバル『フォレスター』、乗ってみるとほとんどべた褒めに近かった。

自動車 試乗記
スバル フォレスター 改良新型
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基本的に性格が疑ってかかる傾向にあるので、滅多なことではべた褒めというクルマはない。ところが今回のスバル『フォレスター』、乗ってみるとほとんどべた褒めに近かった。

今回のモデルはいわゆるマイナーチェンジである。だから見た目でどこか大きく変わっているところはない。それだけに乗る前からまあ、いつも通りの進化でしょ、なんて気持ちで乗ったのだが、走り出したその瞬間から、えっ? という印象。

試乗の場所は富士五湖の一つ、西湖のほとりにあるPICAという名のキャンプ場がベース。国道から少し入ったところで、舗装はされていても補修パッチはあるは小さいながらも穴の開いた路面が顔をのぞかせる道路がアクセス路になっている。その路面を動き出した瞬間の滑らかなこと…。

いつも言っていることだが、人間は直前の印象に大きく左右されやすい。この試乗会場まで乗って行ったのは、最新のMINI『クラブマン』だった。例のゴーカート感覚と称する乗り味は、運動性能こそいいが、ショートストロークの乗り心地は、この種の路面には全く向かない。そこへ行くと地上高220mmもあるフォレスターのストロークの長い脚は、こうした場所には最適なのである。だから最初のえっ? があった。

気を取り直して湖を周回する道路を走ってみても、印象は変わらなかった。この周回路は、場所によってやはり補修パッチが数多く存在し、あるいはかなり飛び出たマンホールなどもある。意図してそんなハーシュや突き上げを食らうような場所を選んで走ってみたのだが、小さなパッチだと通過したのがわからないほど。そして大きなパッチでも軽くボディが微振動する程度で、乗員が上下に揺すられることは全くと言って良いほどなかったのである。

事前の車両説明でも、ずいぶんとこまめというか緻密な作業をやっていることがよく分かった。フロントクロスメンバーの剛性を強化し、リアショックアブソーバーのレバー比を変更 。トレーリングリンクブッシュのバネ定数を変えて最適化。コイルスプリングのバネ定数やショックアブソーバーの減衰力を最適化し、蠢動部(「しゅんどう」と読む)のフリクション安定化などによってしなやかさを追究 等々。要約するなら、細かい改良を積み重ねることで結果的に大きな成果を得たというわけだ。

足のセッティングに関していえば、同時にデビューした『XV』も方向性は似たり寄ったり。まあ、圧倒的にフォレスターの方が良かったが、方向性は同じなので、スバルは快適に仕上げる足回りの肝を掴んだ印象が強かった。これを数値にすると振動の収束時間は23%向上し、振動の大きさは22%改善されたのだという。さらにサイドドアガラス(フロント)の板厚を上げるなどして静粛性を向上させている。板厚を上げれば当然重量増になるのでやりたくはないはずだが、そこまでして拘りを持った改善を行っている。

ステアリングはギア比を15.5から14.0に早めた。決してゲインを上げるクイックさを追求したものではなく、動きのスムーズさを狙ったものという。だから実際に乗ってみてもいたずらにスポーティな感覚はまるでなく、意図した動きに忠実で複合コーナーでステアリングを切り増さなくてはならない時など、非常にスムーズである。何より舵角を小さくできる。

少しコーナーを攻めてみても、地上高220mmによるロールの大きさは気にならない。というわけで何とまあ大人びたクルマになったことか。少なくとも運動性能と静粛性、それに乗り心地はべた褒めだ。しかし、いざ買うかと問われた時ネックとなるのは、エクステリアとインテリアのデザインである。ここだけは上から目線で恐縮だが、まだまだ僕の眼鏡には敵わない。

今回試乗したのはNAのモデルで、2リットルとは言え196Nmのトルクだと、リニアトロニックの嫌な部分があまり出ないので、ドライブトレーン系の動きも問題なし。ほぼすべてにわたって「なるほどなるほど」と感心することしきりだった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

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