【マクラーレン 675LT 試乗】スーパースポーツメーカーとしての存在感を再確認…山崎元裕 | Push on! Mycar-life

【マクラーレン 675LT 試乗】スーパースポーツメーカーとしての存在感を再確認…山崎元裕

自動車 試乗記

マクラーレン 675LT
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マクラーレン『675LT』は、2015年のジュネーブ・ショーで正式発表されたモデルだ。だがこのモデルを、マクラーレンにオーダーすることはもうできない。675LTはわずかに500台のみの生産を計画した限定車であり、そのすべてはすでにソールドアウトしているからだ。

その675LTのステアリングを、世界屈指の高速サーキットである、富士スピードウェイで握ることができた。

675LTというネーミングは、ミッドに搭載される3799cc仕様のV型8気筒ツインターボエンジンが発揮する最高出力たる675psと、1997年にレース用のホモロゲーションモデルとして誕生した、「F1GTR」の愛称であるロングテール=LTを組み合わせたもの。

実際に見る675LTには、スーパーシリーズのコアモデルである『650S』と比較すると、フロントのスプリッターやリアフェンダー、フロントが19インチ、リアが20インチとなるホイール等々の特徴があるが、一方でロングテールらしさがあるのかといえば、リアウイングが30mmほど拡大されているのみで、かつてのF1GTRのような独特な雰囲気はない。ちなみにマクラーレン自身は、F1GTRのようなロングテールデザインを「前時代的なデザインだ」と切り捨てる。

675LTのパフォーマンスは、650Sからのさらなる正常進化型などというレベルを超えていた。ハイブリッドシステムこそ持たないものの、それはアルティメットシリーズの『P1』に近いフィーリングを持つ。特に印象的なのは、そのP1以上に高速化されたというステアリングの動きで、コーナリング時のターンインは実にクイックで、かつスムーズ。ここからの動きは、ミッドシップ車らしくナチュラルなフィールに終始しているし、また650Sから前後トレッドを拡大した効果も、スタビリティの高さとなって表れている。

モノセルと呼ばれる基本構造体のカーボンモノコックの剛性感は、すでに何回もそれを体験してはいるものの、改めて驚きを隠し得ないほどに魅力的だったし、650Sからさらに100kgの軽量化も、675LTの走りをさらに魅力的なものにしている。スタビライザーを持たない代わりに、油圧によるアクティブ制御を行うプロアクティブサスペンションも、675LTのためにチューニングされているが、パワートレーンとともに各々に3段階でそのセッティングを変更できることは、これまでのスーパーシリーズと変わらない。

ミッドのV8ツインターボエンジンは、ターボラグというものをほぼ感じさせることなく、どのようなエンジンスピードからでも瞬時に必要なパワーを引き出せるのが魅力だ。こちらも675LTに専用となるエグゾーストシステムが奏でるサウンドも官能的で、およそ一般的に考えられるターボエンジンのネガは感じられない。デュアルクラッチ式の7速SSGも素晴らしい制御だ。

長い富士スピードウェイのストレートでは、270km/hほどまでの加速を楽しむことができた。この速度域での圧倒的な安定感は、もちろん675LTが持つ優秀なエアロダイナミクスによるもの。例の大型化された可変式のリアウイングは、高速域でさらに加速が継続している場合には、DRS=ドラッグ・リダクション・システムとしての機能を発揮するが、スイッチ操作でDRS機能を働かせることができるP1と比較すると、その効果はやや体験しにくかったというのが正直なところだ。

スーパーシリーズの運動性能を究極の域にまで高め、そして近々にはよりポピュラーなスポーツシリーズのデリバリーも本格的に始まるマクラーレン。スーパースポーツメーカーとしての彼らの存在感は、これからさらに市場で高まっていくことだろう。それを確信できるだけの技術的な、そして走りの魅力という裏づけが、マクラーレンが生み出す作には常にある。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★(もう買えませんが)

山崎元裕|モーター・ジャーナリスト(日本自動車ジャーナリスト協会会員)
1963年新潟市生まれ、青山学院大学理工学部機械工学科卒業。少年期にスーパーカーブームの洗礼を受け、大学で機械工学を学ぶことを決意。自動車雑誌編 集部を経て、モーター・ジャーナリストとして独立する。現在でも、最も熱くなれるのは、スーパーカー&プレミアムカーの世界。それらのニューモデルが誕生 するモーターショーという場所は、必ず自分自身で取材したいという徹底したポリシーを持つ。
《山崎 元裕》

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