【AO入試の基礎16】学習意欲減退防げ…アサーティブ入試ほか入学「前」プロセスの重要性 | Push on! Mycar-life

【AO入試の基礎16】学習意欲減退防げ…アサーティブ入試ほか入学「前」プロセスの重要性

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今さら聞けない!AO入試の基礎知識
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 AO入試や推薦入試を受ける予定の子どもの保護者の質問に、教員経験をもち、総合キャリア支援団体「MyCareerCenter」を運営する岡村洋平氏が答える連載「AO入試の基礎」。第16弾では、AO入試の課題やそれに対する大学の取り組みなどについて話を聞いた。

◆AO入試では合格してから入学までの過ごし方が重要

 前回の連載では、AO入試が大学にとっての安易な学生確保の手段であり、学生にとっては受験勉強をせずに早期に入学できる安易な入学の方法になってしまっているのではないかという懸念についてと、その一方で、AO入試による入学は学生の学ぶ意欲にもつながるというメリットについても取り上げました。今回は、前者のような懸念に対して大学が取り組んでいることについて紹介していきます。

 AO入試への懸念は、もはや「懸念」というようなものではなく、大学にとって現実の問題になっているという指摘もされています。たとえば、一部の大学では一般入試での入学者に比べ、AO入試での入学者の退学率が高くなってしまっているという報告もあります。

 原因のひとつには、入学の半年以上前に合格が決まってしまうことで、学習意欲が減退してしまうことがあげられます。入学までの半年間を、高校での学習を継続して基礎的な知識を定着させたり、大学入学前の助走期間としてうまく活用できれば良いのですが、それができない場合、AO入試のために積み上げてきたものが半年のうちにリセットされてしまうということなのでしょう。

◆AO入試合格者の学習意欲減退を防げ…入学前教育の新たな取組み

 ただ、大学側もAO入試を経て入学する学生の学習意欲減退を防ぐため、さまざまな対応をし始めています。今では、推薦入試やAO入試の合格者を対象に「リメディアル教育」「入学前教育」として、eラーニングなどのオンライン講座を利用して英語や数学といった高校までの教科を学ばせたり、大学で学ぶ基礎として小論文の書き方などを教える取組みを始めている大学も少なくありません。

 このような入学後の学ぶ意欲を高め、高校での学びから大学への学びをスムーズに移行させる工夫としてユニークなものとしては、追手門学院大学(大阪府茨木市)の事例があげられます。追手門学院大学の実質的なAO入試と言える「アサーティブ入試」は、入試のプロセスそのものが「教育的」になっていることが特徴です。

 この入試は、大学が高校1年生から3年生までを対象とした「アサーティブプログラム」を開催し、それに参加した学生を対象にした入試です。ただ、このプログラムは、必ずしも追手門学院大学の受験を前提としていません。アサーティブプログラムでは、参加者は大学の職員と1対1で話したり、独自インターネット学習システムで基礎学力を身につけたりと、プログラムを通じて課題発見能力や論理的思考を育成し大学で学ぶための基礎を身につけていきます。

 こうした「アサーティブプログラム」を修了し、かつ、追手門学院大学に入学を希望した場合に受験するのが「アサーティブ入試」です。入試そのものはアサーティブプログラムで学んだことが生かせるようなグループディスカッションや面接、学力検査などで、合格後は、入学までの準備期間に取り組む課題が用意されます。この入試は、受験を検討するプロセスと入試、そして入学前学習とが一貫しており、入学までに学ぶ意欲を高めていく設計が丁寧になされていることから、入学までの学ぶ意欲を高めるための施策として今後のAO入試のモデルのひとつとして注目されています。

 AO入試は、日本で初めて導入されてから約20年が経ったとはいえ、多くの大学ではさまざまな課題がある中でより良いあり方をめざして試行錯誤している段階です。とりわけ、「学ぶ意欲が高い状態で入学させるためにはどのようにするか」という点は、どの大学にとっても大きな課題であり、もっとも注力しているところです。

 大学に入学させることがゴールではなく、お子さまが大学で成長することこそがゴールだとすれば、特にAO入試での受験を検討している場合は、入学前のプロセスにも注目して大学選びをするのも良いでしょう。

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 連載「AO入試の基礎」は、AO入試や推薦入試を、学生やその保護者が受験をする際の「前向きな選択肢のひとつ」にするべく掲載されるシリーズ。次回以降も、AO入試について役立つ情報を取り上げる。
《編集部》

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