【マツダ ロードスター RS 試乗】欧州スポーツモデルに肉薄するような走り…井元康一郎 | Push on! Mycar-life

【マツダ ロードスター RS 試乗】欧州スポーツモデルに肉薄するような走り…井元康一郎

自動車 試乗記

マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
  • マツダ ロードスター RS
マツダのコンパクトオープンスポーツ『ロードスター』のラインナップに加わった「RS」を試運転する機会があったのでリポートする。

RSのパフォーマンス向上メニューをおさらいしておく。最大のハイライトはビルシュタイン製ショックアブゾーバーを中心としたシャシーセッティング変更と、高機能シートメーカーとして知られるレカロがチューニングをほどこした専用スポーツシート採用であろう。また、前後ブレーキローター大径化による耐フェード性向上、フロントストラットへのパフォーマンスロッド装着による車体のしなりの抑制、エンジンの吸気音を室内に伝えるインダクションサウンドエンハンサーによるエンジンサウンドチューンなどが目立つところだ。

足回りやシートが特別製となってはいるものの、エンジン本体や吸排気系、コイルスプリング、タイヤはノーマルと同じ。価格も装備がほぼ同等の「S レザーパッケージ」の6速MTに対して16万4000円高と、ビルシュタインダンパーとレカロシートでお釣りがくるくらいであるため、パフォーマンスもちょっぴり違うというという程度かなと予想していたが、実際にドライブしてみると、その予想を裏切る本格的な走り味を持つモデルであった。

1時間少々という短時間試乗であったため雑感にとどまるが、走り味はきわめてレスポンシブなもの。スプリングレートがノーマルと変わっていないため定常旋回時のロール角も同じになるはずなのだが、ショックアブゾーバーの減衰力強化によってロール角の変化が穏やかになったためか、コーナリング時の姿勢変化のつかみやすさは大幅に向上しているように思われた。S字カーブでの切り替えしがリズミカルになるなど、とても爽快なドライブ感覚であった。

RSのショックアブゾーバーチューニングでとくに良いと思われたのはフロントの伸び側の減衰力強化。試乗コースに選んだ伊豆スカイラインは舗装面のコンディションはそれほど悪くないのだが、路盤のうねりがきつい場所が随所にある。同日、同じコースをSスペシャルパッケージでも走ってみたのだが、Sスペシャルパッケージのボディが上下に揺すられてぐらつき気味になるようなアンジュレーションを伴うコーナーでも、RSは終始安定した姿勢を保っていた。

S系に対するRSのビハインドは乗り心地。いかにもビルシュタインのド・カルボン式という、やや強めのハーシュネス(コツコツ感)を伴ったフィールが顕著で、ノーマルの滑らか至極な乗り心地と比べると明らかにハードだ。もっとも、道路の補修跡を通過する時のような大きめの入力のいなしはとても良く、前述のようにぐらつき感がないため、悪い道をペースを上げて走る場合は印象が逆転しそうにも思えた。

インダクションサウンドエンハンサーによってチューニングされたエンジン音は、吸排気の脈動や燃焼音が抑え込まれ、低回転から高回転まで終始、澄みわたったメカ音が主体となって響いてくるタイプのサウンド。同じ1.5リットル直4のライバルのなかでも快作として挙げられるホンダの1.5リットル直噴DOHCが中高回転で荒ぶるサウンドを立てるのと好対照な音作りであった。また、6速MTはノーマル同様、ギアのうなりが皆無と言っていいほどに抑制されていた。ギアの音が鳴ったほうが勇ましくて好きという人には物足りなく感じられる可能性もあるが、エンジン音の純味を味わうにはこの方向性が適しているだろう。

レカロシートのホールディングは申し分ない。座ったときのフィットネスはハンモック形状のノーマルのシートが良く感じられるのだが、体の軸線がぶれず、またコーナリング中に突然ショルダー部に体が当たるといったストレスがなく、安心して体をクルマに預けられるという感覚ではレカロがノーマルを圧倒する部分だ。長距離を走ったわけではないが、ロングツーリングでも良いパフォーマンスを見せそうだった。

総じてロードスターRSは、ノーマルに対してとりわけ走りの面で際立った違いを見せるモデルに仕上がっている。ワインディングロードを含めた一般道の速度域が他の先進国に比べて格段に低い日本の公道では高いシャシー性能は無駄であるようなイメージがあるが、本当に足がよく出来たクルマは、飛ばさずゆっくり走っても、クルマの動きの確かさを味わうだけで濃厚なドライビングプレジャーを得られるもの。スキーに例えれば、国体強化選手が練習のときにサッサッと格好良くパラレルで高速滑降せず、急斜面をプルークで荷重移動をじっくり確かめながら滑って調整するような感じだ。

低中速でもそういう動きを味わえるというハイパフォーマンスモデルのチューニングは欧州メーカーが圧倒優位に立っている領域だが、ロードスターRSのシャシーの味付けはルノースポールに肉薄するようなレベルで、国産勢では一部のコンプリートカーを除けば他に例がないというくらいに優れていた。欲を言えば、サスペンションの伸び側のチューニングは今のままでもう少し素直にロールするようなセッティングにしてほしい気もしたが、これは個人の好みの領域だ。ロードスターはスタイリッシュなボディデザインで屋根が開くという時点ですでに十分な価値を持っているのだが、クルマの素晴らしい動きを味わうだけでご飯をおかわりできてしまうようなタイプのカスタマーがロードスターを買うなら、ちょっと背伸びをしてでもRSに行くだけの価値は十二分にあるように思えた。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★(オープン2シーターとして)
インテリア/居住性 ★★★★★(オープン2シーターとして)
パワーソース ★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★(ライトウェイトスポーツの挙動を楽しみたい人限定)
《井元康一郎》

特集

page top