紀里谷和明監督に人生相談してみる【前編】 結婚とは? 幸せとは…? | Push on! Mycar-life

紀里谷和明監督に人生相談してみる【前編】 結婚とは? 幸せとは…?

エンタメ エンタメ

『ラスト・ナイツ』紀里谷和明監督/photo:Naoki Kurozu
  • 『ラスト・ナイツ』紀里谷和明監督/photo:Naoki Kurozu
  • 『ラスト・ナイツ』 - (C) 2015 Luka Productions.
  • 『ラスト・ナイツ』 - (C) 2015 Luka Productions.
  • 『ラスト・ナイツ』 - (C) 2015 Luka Productions.
  • 『ラスト・ナイツ』 - (C) 2015 Luka Productions.
  • 『ラスト・ナイツ』 - (C) 2015 Luka Productions.
  • 『ラスト・ナイツ』紀里谷和明監督/photo:Naoki Kurozu
  • 『ラスト・ナイツ』 - (C) 2015 Luka Productions.
映画の宣伝のため、公開前後に人気俳優たちが各局の番組に出演し…という風景は珍しいものではなくなったが、映画監督がプロモーションを通じてここまで強烈なインパクトを放つことも珍しい。

8月に放送されたトークバラエティ「しくじり先生」で「おれみたいになるな」と言っておきながら、自由奔放な発言で話題を集めた紀里谷和明監督。ハリウッドで製作した最新作『ラスト・ナイツ』公開に合わせて、ここ数週間で「ワイドナショー」、「行列のできる法律相談所」など次々と人気番組に出演してきたが、そんな紀里谷監督に、シネマカフェでは読者から募集した質問事項を元に「人生の悩み相談室」を実施! “しくじり先生”が映画そっちのけで熱く語る――かくも難しい世の中、こう渡ってゆけ!!

<相談>
会社での同僚との関係、プライベートでの友人との関係など、相手に合わせての人間関係に疲れてしまうことがしばしばあります。紀里谷監督は言いたいことをズケズケいうイメージがありますが、他人との関係性の作り方、付き合い方についてアドバイスをください。

紀里谷:僕は組織に属したことのない人間だから、どう考えてもアドバイスが参考になるとは…(苦笑)。

――映画を作るチームのリーダーとして、周囲のスタッフと関係を築いていかなくてはいけない部分もあると思いますし、そこでの経験などについてお願いします。

紀里谷:やはり正直であることだと思います。「自分はこう思う」ということを素直に言うべきです。それで、嫌われたり、衝突はあるかもしれないけど、それがあなたのエゴに根差したものではなく、相手やプロジェクト、社会のためであるなら言うべきだし、それはいつか分かってもらえるものだと思います。逆の立場に立ってみて、自分が相談するなら、本音を言ってくれる人と耳ざわりのいいことを言ってくれる人、どちらを選ぶかです。僕は前者です。実際、チームで仕事をするとき、僕は周りに忌憚ない意見を言ってほしいです。

――プライベートでは監督自身、どうやって友人関係を築いているんですか? 付き合いの中で心がけていることは?

紀里谷:とかくこの社会、「演じること」を強要する関係が多いですよね。楽しそうじゃなきゃいけなかったり、波風立たないことで会話したり…。でも、それを友達と呼べるのか? 僕はそういう関係に興味がない。本当につながるためには自分もオープンになるべきだと思います。そもそも「どうやって仲良くなるか?」という質問自体がおかしい。そこはビジネスじゃないんだから、駆け引きはいらないですよ。

――他人に対して、初対面で緊張することはありますか?

紀里谷:それは、もちろんあります。リスペクトしている人と会う時は特に。今回の『ラスト・ナイツ』でもモーガン・フリーマンとお会いするときは緊張しましたよ。でも、そこから(関係の構築に関して)何か変わることもないですね。

――そういうスタンスは、若い頃から? アメリカに留学された経験が大きい?

紀里谷:まあ、それはあるかもしれません。特に僕が渡った頃のアメリカは、いまよりもずっとオープンな空気でしたし、よほど相手の気分を害することでなければ、何かを言って怒られるというような空気ではなかったですね。逆に、日本のようにどうしても「作法」を重視する社会では、ギクシャクしてしまうことはありますよね。例えば、つい最近、名刺を持つようになったんですが、受け取り方や渡し方など、いろんなマナーがあるじゃないですか。

――ネットで「取引先で出されたお茶には手を出すべきか?」という質問が話題を集めたりもしてます。

紀里谷:僕も悩む部分はありますよ。昔は「僕はアーティストだから」と言えば済んでたかもしれないし、名刺すら持ってなかったわけで。でも、いまは単に映画を作るだけでなくプロデューサーの立場を兼ねていたりもする。それを言うならロックスターにだっていまや、その辺のマネージメント能力は必要とされますからね。もちろん、作法やマナーは必要だと思いますが、あとはそこに「誠意」があるかだと思います。名刺交換でも挨拶でも、そこで僕はきちんと誠意を込めているという自負があるので、ズルい言い方だけど(笑)、多少の作法の間違いはいいかなと。むしろ、作法はキッチリしてるけど、そこに心がない人の方がマズいと思うし、僕はこれまでもそういう人を見てきましたから。

――では結論として…

紀里谷:人間関係であれ、礼儀であれ、自分自身に問いかけて、恥じるべきものがなく、心から信じてやっているなら、それでいい! それ以上はどうしようもないし、大事なのは自分と向き合うことです。

<相談>
結婚について。30代を超えると、自分自身に結婚願望があるのもそうですが、周りのプレッシャーのようなものにもさらされます。そもそも結婚とは何でしょう? 人生観が変わりますか?

紀里谷:僕に何を言えと?(笑)。「周りのことなんてどうだっていいじゃん!」で終わりますけど。

――結婚に限りませんが、先ほどの人間関係然り、どうしても周りと自分を比べて見てしまったり…

紀里谷:要は「他人に笑われたくない」、「バカにされたくない」んですよね。さっきの作法の話も同じで。小学校のころに抱いた「みんなの前で間違えて笑われると恥ずかしい」という恐怖から、いまだに逃れられないわけですよ。

――そういう恐怖を持ったことないんですか?

紀里谷:ありましたよ。でも結局「そうやって笑ってる人たちって何なの?」って話ですよね。「私は結婚して、勝ち組です」って思ってる人は本当に幸せなのかと。資格を取るのと似てますね。「○○ソムリエ」「△△マイスター」「■■コンシェルジュ」とか。

――ちょっと話がキナ臭くなってきました…(笑)。

紀里谷:いや、そういう資格自体が悪いわけじゃないですよ。ただ「私はその資格を持ってるからすごい」じゃなくて、大事なのは、それで何ができるのかという中身ですよね? 「私は結婚してるからすごい」というのは単に、肩書を欲しがってるだけということ。そう見られたいという、第三者からの承認欲求がすごいけど、それは、周りに認められて優越感を持ちたいということですよね。逆に言えば、そういう人はすごいコンプレックスの持ち主ってことですよ。そんな人たちのことは気にしなくていいんです。

――周りと比べても仕方がないと。

紀里谷:そういうことで苦しんでる人は多いんでしょうが、変えられるのは自分自身だけですよ。他人がその苦しさを変えることはできない。どんな資格を持ってようが、どんなお金持ちと結婚したって、結局はさらに“上”がいるわけです。結局、どこまで行っても「勝ち組」と「負け組」の構造が延々と続くだけ。自分でそのマインドから降りるしかないですよ。

――それは監督自身の経験と照らし合わせて…?

紀里谷:僕も、昔は「こんな車に乗ってるぜ!」とかありましたよ。でも結局、幸せじゃなかったんです。最初だけは高揚感があるけど「それで? だから何なの?」ってなるだけで、どこまで行っても終わらないし、そんなこと考えてる自分がカッコ悪いなって思った。むなしい…いや、苦しかった。それと同じことで、周りから見ての「幸せな結婚」をしたって不安から逃れられないですよ!

――周りの圧力はともかく、結婚というものについて…

紀里谷:したいなら、してみたらいいですよ(笑)。

――人生観や考え方が変わりますか?

紀里谷:いやいや、違いますよ! 結婚したから人生観が変わるんじゃなくて、「この人のためにこうしよう」と思ったり、人生観を変えられたからこそ、結婚するものなんですよ。話を伺っていて思うのは、多くのひとが他力本願な気がします。「結婚したら人生が変わる」とか「何かが起きたら私も幸せになれるのでは?」と外的要因に幸せが左右されると思ってるけど、まったくの逆です。自分で気づかないといけないと思いますよ、実はすでに幸せだということも含めて。

――何を幸せととらえるか? 見方の問題だと。

紀里谷:例えば、40代の女性とお会いすると、すごくキレイな方なのに「私はオバサンだから」とか自虐的に言う方が多い。それは、自分から魅力を失っているように思います。若い子と話してても、逆に「若い」ということに引け目を感じてたりするしね。一番肌がキレイでピチピチなはずの10代で化粧をしていて、理由を聞くと「オトナっぽくなりたい」って言う。もっと言えば「自分ではないものになりたい」から。そんな子が、20代になると「10代のころは」ってないものねだりのスパイラルなんですよ! 25歳の子と話しても「私はもうオバチャンで…」とか言うし、いつでも「私はダメ」って言う。僕は、お世辞でなくどの世代の女性も、その年代なりの美しさを持ってると思うし、それでいいと思ってる。そういうの、もうやめたんです。コンプレックスは持たない。

――コンプレックス・ゼロ宣言? また摩擦係数が高そうな発言を…(笑)。

紀里谷:また「偉そうに」とか言われるでしょうけど、ないです! コンプレックスを持つ必要ないし、このままでいい。映画を撮り続けたいとか、もっとうまくできるはずという欲望や願望はありますよ。でも「自分に何が欠けてるか?」とか「何を持ってない」じゃなく、持っているものにフォーカスを当てるべきだと思う。僕の場合、健康で、日本という恵まれた国に住んでて、親が元気で友達がひとりでもいる。そういうことに気づけば、余計なコンプレックスを持つ必要もないし、外野の言うことなんてどうでもよくなる。
――改めて結婚について。

紀里谷:「結婚がゴール」なんてことはないです!

【後編】では紀里谷流の子育てから、人生における恐怖の克服の仕方まで、さらにヒートアップ! こうご期待!! 【後編】に続く。
《photo / text:Naoki Kurozu》

特集

page top