【インタビュー】ヒュー・ジャックマン、楽しみながら演じた“悪役” 新境地を語る  | Push on! Mycar-life

【インタビュー】ヒュー・ジャックマン、楽しみながら演じた“悪役” 新境地を語る 

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『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』ヒュー・ジャックマン
  • 『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』ヒュー・ジャックマン
  • 『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』ヒュー・ジャックマン
  • 『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』 (C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
  • 『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』ヒュー・ジャックマン
  • 『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』 (C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
「やってみたい役は?」という質問に多くの俳優は「悪役」と答え、悪役を演じる俳優自身のパブリックイメージが“いい人”であればあるほどその悪役は際立って見えるものだ。そして、昔も今も変わらず好感度の高い俳優として活躍するヒュー・ジャックマンもそのひとり。少し前の映画『チャッピー』では屈折したエンジニア=悪役を演じ「えっ、あのヒュー・ジャックマンがこんな役を!?」と驚かせてくれたが、次なる新作『PAN~ネバーランド、夢のはじまり~』では、また異なる悪役──ピーターパンが誕生する前のネバーランドを踏みにじる海賊“黒ひげ”を演じ、さらなる新境地を開いた。

「俳優の仕事で素晴らしいと思うのは、想像力のなかで旅ができることだ。実は、過去に自分にそっくりの役はオファーされたことはなくて、違うものを演じることが俳優としての楽しみでもある。たとえば、『ウルヴァリン』は僕とはまったく異なるけれど、ああいう役を演じることはものすごく楽しくてね。『羊たちの沈黙』のハンニバル役のアンソニー・ホプキンスにしても『ダイ・ハード』のアラン・リックマンや『フェイス/オフ』のジョン・トラボルタにしても挙げたらきりがないけれど、彼らはスクリーンのなかでは悪役だからものすごく恐いだろう? でも、本人からはものすごく演じることを楽しんでいるのが伝わってくる。どんな映画でも映画は娯楽、恐くても、悲しくても観客はどこかで楽しんでいるものだからね」。

ヒュー・ジャックマンも「もちろん、僕も黒ひげをとても楽しみながら演じたよ」と、取材中には歌まじりに語ることも! どれだけ楽しかったのかが伝わってくる。ちなみに、映画の冒頭ではロック音楽に乗せてノリノリで歌を歌うシーンもあり、それはジョー・ライト監督による撮影現場の雰囲気を盛り上げる演出のひとつ。そこから生まれたシーンもあるのだと言う。

「撮影の前のリハーサル中、俳優たちがみんな海賊になって生活する訓練キャンプのようなものがあったんだ。そこでは毎朝のようにジョー監督が歌を歌ってね。海賊=歌うのが常識ってことだね(笑)。黒ひげがあのシーンで歌うのはもともとシナリオにはなかったけれど、毎日、ジョー監督が音楽をかけているものだから、つい気分が乗っかって“これは本編にも使っちゃおう!”ということになったんだ。ジョー監督の現場はとにかく楽しくて、朝の8時から夜の10時まで、セットにはつねに音楽が鳴り続けていた。リラックスできるし、楽しいし、そもそもネバーランドなんだから年齢なんて関係ないさ! さあ、楽しもう! という感覚なんだ。そういった現場での僕らの楽しさは、映画を通じて観客に伝わるって信じているよ」。

ヒュー・ジャックマンが悪役を演じるギャップだけでなく、黒ひげのキャラクターにもギャップがある。黒ひげはチャーミングだけれど気まぐれで、永遠の若さを求め、私欲のためなら人の命も簡単に奪うどころか「人を殺すことまでジョークにしてしまうキャラクターだからね」と、演じる本人も苦笑いするほど問題を抱えた男だ。その恐さとチャーミングさを表現しているのが、あの華麗で奇抜なコスチューム。ルイ14世のような衣装とマリーアントワネットのようなウィッグをベースに完成した黒いカラスを思わせるブラック・コスチュームは、本人もかなりお気に入りだ。

「あの衣装は僕も僕の妻も気に入っているんだ。海賊なのに貴族っぽいのが黒ひげの特徴で、昔の植民地時代の英国人のイメージがある。決して下品な海賊ではなく上流社会を意識しているコスチュームだね。でも、あくまでもあの世界は12歳の少年ピーターから見た世界。ジョー監督が言ったことなんだけど、子供は大人を見るとき、大人は恐いなぁと思うこともあれば、大人ってバカだなぁと思うこともあるものだってね。ピーターからみた黒ひげのあのコスチュームは『なんだ、コイツ?』って感じでとても滑稽に映っているはずだ(笑)。そして、滑稽かと思っていたら急に恐怖も与えてくる存在でもあって。予知できない大人の行動は子供にとっては恐いことだからね」。

ピーターパンは世界で有名な少年だけれど、彼がどうやってピーターパンになったのかは誰も知らない物語であり、その秘密がこの『PAN ネバーランド、夢のはじまり』で明らかになる。空飛ぶ海賊船に乗って黒ひげがいるネバーランドにやって来た少年ピーターがピーターパンになる物語には「自分を探す」テーマもあるとヒュー・ジャックマンは語る。

「ピーターはずっと母親を探しているけれど、それは同時に自分自身を探すことでもあるんだ。そして、母と出会ったときに彼は自分の存在意義を知ることになる。その瞬間、みんな共感して、みんな泣くと思うよ。ピーターを演じたリーヴァイの演技も本当に素晴らしかったからね」。母と子のエピソードに温かい涙が流れるだろう。そんな母子の愛、黒ひげとの戦い、フック船長との友情、自分自身を「信じる」ことによって生まれる魔法の力──夢のようなネバーランドの世界は、想像以上に心をふるわせてくれる。(text:Rie Shintani)
《text:Rie Shintani》

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