【インタビュー】『トランスポーター』エド・スクレイン、自身の役にアドバイス「戦うのはやめて安全運転を」 | Push on! Mycar-life

【インタビュー】『トランスポーター』エド・スクレイン、自身の役にアドバイス「戦うのはやめて安全運転を」

当然のことながら、これまでとは違う。その違いこそが、新しさを生んでいる。ジェイソン・ステイサムからバトンを受け取り、シリーズ再始動作…

エンタメ エンタメ
『トランスポーター』エド・スクレイン
  • 『トランスポーター』エド・スクレイン
  • 『トランスポーター』エド・スクレイン
  • 『トランスポーター』エド・スクレイン
  • 『トランスポーター』エド・スクレイン
  • 『トランスポーター』エド・スクレイン

当然のことながら、これまでとは違う。その違いこそが、新しさを生んでいる。ジェイソン・ステイサムからバトンを受け取り、シリーズ再始動作『トランスポーター イグニション』で天才運び屋フランク・マーティンを演じたエド・スクレインは、ストイックでスマートな役の魅力を保ちつつ、フレッシュでスウィートな“新フランク”を誕生させた。

黒いスーツに身を包み、愛車のアウディS8を自在に操る2代目フランク。華麗なドライビングテクニックと格闘技術を持つ彼のキャラクターは、アクション・コーディネーターとの二人三脚で作り上げたものだとエドは言う。
「クラヴマガ、カリ、ボクシング、キックボクシングを取り入れながら、フランクのスタイルを作っていったんだ。マーシャルアーツに挑戦するのは初めてだったし、とてもとても大変な作業だったよ(笑)。でも、フランクになるには、それが最も重要なプロセスだったんだ。普通は台詞を言いながら役の内面を模索するものだけど、フランクはアクションを通して感情を掘り下げられる役。肉体の動きと感情が密接にリンクしているからね」。

そんな彼の物語の中で注目すべきは、愛する父親の存在。運び屋フランクの協力を何としても取りつけたい依頼者の美女3人が、父親を人質に取るところから話は展開していく。
「今回の物語には、フランクの様々な面を見せる素晴らしいチャンスがあったと思う。彼の強みだけでなく弱みも見せられたからこそ、より深みのある人間像になったんじゃないかな。父親役のレイ・スティーブンソンとは実際にもすごく仲良くなったんだ。それはスクリーンを通しても感じてもらえると思うし、フランクと父親の場面は僕が最も好きなシーン。カメラの前以外でも、僕たちは一緒に過ごすことが多かったね。その時にどんな話をしたかは言えない! 教えてもいいけど、原稿にはできないと思うよ(笑)。下らなくて、ダークで、子どもっぽいユーモアのこもった会話を交わしたんだ。しかも、僕の父もレイと仲良くなってね。オンスクリーンの父とオフスクリーンの父が僕にはいる感じかな」。

父親の命を救うべく危険に身を投じる姿も格好いいが、やがて美女たちの抱える事情を知り、親身になっていくのもエド版フランクのスウィートなところ。ただし、「僕自身とは女性に対するアプローチの仕方が全然違う(笑)」そうだ。
「女性たちを助けてあげようとする姿勢は尊敬に値するけど、フランクの生き方はちょっと危険過ぎるよ。3人の美女たちからは危険な香りがプンプンと漂っているわけだし…。僕がフランクにアドバイスをするなら、『素敵な女性を見つけて、仕事をやめて、安全運転をして、人と戦うのはやめて、子どもでも作りなよ』ってとこかな。でも、そうしたら話が終わっちゃうから、それはそれで困るよね」。

ちなみに、出演ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」でも、エドは逞しい美女に理解を示す男を演じていたが…、「そこは僕の実人生に近いところだね(笑)」とのこと。
「子どもの頃は母ガモについていく子ガモのようだったし、今はパートナーが僕を導いてくれる。仕事や人生の重要なポイントは自分でコントロールしたいと思うけど、家庭では決して(積極的に主導権を握る)アルファなタイプじゃないんだ。周りにいるダイナミックな女性たちに主導権を渡すことに全く抵抗はないんだよ」。

柔らかな物腰、口調の穏やかさ、そして真摯な態度。そこからはエド自身の人柄に加え、映画に対する愛が見て取れる。主人公の宿敵を演じるマーベル映画『デッドプール』の公開を来年に控え、今後のキャリアにも注目が集まる中、「俳優だったらジャック・ニコルソン、スティーブ・ブシェミ、マッツ・ミケルセン、スティーブン・レイ。監督だったらシェーン・メドウズ、マイク・リー、マイク・ニューウェル、クエンティン・タランティーノ」と、仕事をしてみたい映画人の名前をポンポンと列挙。人生のベスト1映画を訊くと、「1本? 困ったな…」と苦渋の表情を浮かべながらも、マチュー・カソヴィッツの『憎しみ』を挙げた。
「僕は映画作りを心から愛している。完成した後の宣伝活動すらもね。僕はこうして日本に来られて幸せだし、皆さんとお話できるのが楽しくて仕方ないんだ。もちろん、一番好きなのは撮影現場だけどね。上手くいかない時に試行錯誤するのも含め、映画作りの現場が好き。よりよいものにする、シーンの真実を見つける、そして真実を伝えるために最善を尽くすことに魅力を感じている。フランクはストイックな男だからカメラの前以外でもシリアスな表情をキープしていたけど、心の中ではいつも笑顔だったよ(笑)」。

「日本に来られて幸せ」という言葉は本音のようで、実は来日中、日本語でのツイートにもチャレンジしていたエド。日本を離れる際も、「こんなにも早く日本を去るのは悲しいのだけど…いつかまた会える日を思うとワクワクします。いつも心に日本を」と、心に染みるコメントを書き込んでいた。
「本当は日本語が話せる…と言いたいところだけど、今はGoogle翻訳という素晴らしいアプリがあるから活用させてもらったよ(笑)。日本にいるのだから、日本語でツイートしなきゃね! 今回はあまり長くいられないけど、すぐにでもまた戻って来たいな」。

《/photo:Nahoko Suzuki》
page top