【DIATONE NR-MZ80PREMI】その能力のすべてを完全解剖! #3: イコライザー機能 その1 | Push on! Mycar-life

【DIATONE NR-MZ80PREMI】その能力のすべてを完全解剖! #3: イコライザー機能 その1

講師:サウンドステーション クァンタム 土屋和之氏

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【DIATONE NR-MZ80PREMI】その能力のすべてを完全解剖!

講師:サウンドステーション クァンタム 土屋和之氏

『DIATONE SOUND.NAVI』の上位機種、「NR-MZ80PREMI」のスゴさの秘密に迫っている当連載。第3回となる今回は、グラフィックイコライザー機能にスポットを当ててみたい。『DIATONE SOUND.NAVI』のスタンダードモデル「NR-MZ80」のそれとは大きく異なる「NR-MZ80PREMI」のイコライザー。その優位性の一部始終を解説していく。茨城の実力ショップ、クァンタムの土屋さんに詳細をお聞きしてきた。じっくりとお読みいただきたい。


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10バンドのイコライザーが「NR-MZ80」のもので、31バンドのイコライザーが「NR-MZ80PREMI」に搭載のもの。写真では200Hzを左右でまったく逆の状態にしているが、このような操作は普通あり得ない。とにかく“微調整”が、扱うときのキーワードだ。

10バンドのイコライザーが「NR-MZ80」のもので、31バンドのイコライザーが「NR-MZ80PREMI」に搭載のもの。写真では200Hzを左右でまったく逆の状態にしているが、このような操作は普通あり得ない。とにかく“微調整”が、扱うときのキーワードだ。


10バンドのイコライザーが「NR-MZ80」のもので、31バンドのイコライザーが「NR-MZ80PREMI」に搭載のもの。写真では200Hzを左右でまったく逆の状態にしているが、このような操作は普通あり得ない。とにかく“微調整”が、扱うときのキーワードだ。 10バンドのイコライザーが「NR-MZ80」のもので、31バンドのイコライザーが「NR-MZ80PREMI」に搭載のもの。写真では200Hzを左右でまったく逆の状態にしているが、このような操作は普通あり得ない。とにかく“微調整”が、扱うときのキーワードだ。 

「NR-MZ80」に搭載されているイコライザーは『フロント・リア、左右共通10バンド・アジャスタブルFIRグラフィックイコライザー』。一方、「NR-MZ80PREMI」に搭載されているのは『フロント左右独立31バンド・アジャスタブルFIRグラフィックイコライザー』。違いは、“左右共通”or“左右独立”、そして“10バンド”or“31バンド”、以上の2点だ(ちなにみ、「NR-MZ80PREMI」でもリアに関しては『左右共通10バンド・アジャスタブルFIRグラフィックイコライザー』である)。

ちなみに、現在、ハイエンドカーオーディオの多くがこの“左右独立”“31バンド”のイコライザーを搭載しているが、これを使いこなすのは相当に難しい。ここまでのスペックはまさしくプロスペック。しかしプロにとっては、“左右独立”で“31バンド”がどうしても必要だという。

ところで、イコライザーがそもそもどういう目的の機能であるのかを簡単におさらいしておこう。要は、車内の音響特性の乱れを整えるための機能、である。とは言いつつ、イコライザーだけで車室内の音響特性の乱れを解決できるわけではない。というより、イコライザーだけでそれを行おうとしてはいけない、とのことだ。まずは取り付けの段階で、物理的に音響特性が乱れないように追い込んでいく必要があり、さらには、クロスオーバーやタイムアライメントの調整でも追い込む必要がある。その上で、最終的な“微調整”をイコライザーで行うのである(このあたりについては、次回、さらに詳しく解説していく)。

キーワードは“微調整”。つまり、ちょっとだけ使う、ところがミソなのである。そのためには、微細な調整が可能でなければならないのだ。

そこでポイントとなるのが、“左右独立”であり“31バンド”というわけなのだ。

“左右独立”とは文字どおり、右ch、左chをそれぞれ別々に操作できることを意味する。

ちなみに、ステレオの原則の1つに、左右の再生環境は同じでなければいけない、というものがある。つまり、左右で違うメーカー、違うグレードのスピーカーを使うことはあり得ないし、デッドニングやバッフル製作に関しても、左右はまったく同じやり方で行わなければならない。

しかし、車内の形状は左右で異なっている(ハンドルやダッシュボードの形など)。このため、左右で反射の影響が変わってしまう。さらには、スピーカーのリスナーに対する角度も左右で異なる。指向性が強い高音になるほど、角度が開いていくほどに減衰していくのだ。

このように、本来左右の条件が同じでなければならないのに、左右で違いが生まれてしまっているのがカーオーディオなのだ。この、左右の条件を整えることがイコライザーに求められる大きな役割なのだ。左右が共通のイコライザーでは、左右の違いを整えることはできないのである。

ところで、左右とも同じようにピークなり、ディップなりが出てしまっているケースがあったとする。土屋さんいわく、左右共通の音響特性的なクセは、イコライザーではなく、それ以前の段階で対応可能な場合が多いとのこと。そういったタイプの乱れはむしろ、イコライザーではなく、それ以前の要素で対応したほうが、最終的に良い音になるという。

続いて“31バンド”について。“31”という数は、可聴帯域の上限とされている20kHzまでを、おおよそ“1/3オクターブ刻み”で区切っていったときの数だ。それに対して、「NR-MZ80」では“10バンド”。こちらでは、1バンドあたりが1オクターブ刻みになっている。

1オクターブというのは、ピアノの鍵盤で見ると、白鍵が8つ、黒鍵が5つ存在している範囲だ。つまり、ドからそのオクターブ上のドまで13個の音が存在しているのである。言うまでもなく、1オクターブとは、結構広い範囲なのである。低い音になればなるほど、1オクターブ音程が違えば1波長の長さも相当に違ってくる。それを1バンドとして扱っても、精密な補正が行えないであろうことは、容易に想像がつくだろう。1バンドの担当範囲として“1/3オクターブ刻み”が現実的に妥当な刻みなのである。

いかがだろう。「NR-MZ80」と「NR-MZ80PREMI」のイコライザー機能の差をご理解いただけただろうか。とことんHi-Fiを追求していこうとするとき、微妙なところを越えられるかどうかが壁となって立ちはだかる。イコライザーが“左右独立”で“31バンド”あることで、それを越えていけるチャンスが増えていくのである。

さて次回は、参考として、プロはどのように“左右独立31バンド”を使いこなしているのかをご紹介していこうと思う。それを知ることで、カーオーディオの奥深さを感じ取ることができるはずだ。楽しみにお待ちいただきたい。

《太田祥三》

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